聞いたことはあるけど今一つよくわからない「ソリューションビジネス」
知っているようでよくわからない「ソリューションビジネス」の基本を総ざらいします。
「ソリューションビジネス」の概要
経営上の課題などを解決するための一貫したサービス全体のことを「ソリューション」といいます。
企業の課題を解決するための提案を行ったり、企業にあった業務パッケージとしてのシステム構築をしたりするビジネスのことをソリューションビジネスと呼ぶのです。
ソリューションビジネスを行う際には、顧客からの信頼を勝ち取ることが重要です。常に顧客の状況を把握することで課題を共有し、その状況にあった提案をしていく企業を、一般に「ソリューションプロバイダ」と言います。
ソリューションビジネスの1つで、ユーザの目的に合ったシステムの導入から保守・運用までをトータルに行うサービスのことを「システムインテグレーション」といいます。
「システムインテグレーション」サービスを提供する企業が「システムインテグレータ」です。
クラウドコンピューティング
ソリューションビジネスでは、様々な課題に応じて、最適な提案をしていかなくてはなりません。現在では、会社ごとに大規模なサーバの構築を行うのではなく、利用者はサーバの存在を意識しない「クラウドコンピューティング」を活用することも増えてきました。
「クラウドコンピューティングサービス」とは、ユーザが最低限の機器のみでインターネット上のサービスを受けられるしくみのことです。
ユーザは、ネットワーク上のサーバの存在を意識することなく、各種サービスのみを利用することができます。
一般にネットワークを雲のイラストを用いて表現することが多いため、クラウドコンピューティングサービスと言われています。
まずは、代表的なクラウドコンピューティングサービスである「SaaS」「PaaS」「IaaS」などの利用形態をみていきましょう。
SaaS(Software as a Service)
「SaaS(Software as a Service)」とは、クラウドコンピューティングサービスの1つです。
ハードウェア、基本ソフトウェア、アプリケーションプログラム等、インターネット上でアプリケーションプログラムの稼働に必要な機能や環境を提供するサービス形態をいいます。
通常は1つのサービスを複数の企業で共有する「マルチテナント方式」が用いられます。
PaaS(Platform as a Service)
「PaaS(Platform as a Service)」とは、クラウドコンピューティングサービスの1つです。
ハードウェア、基本ソフトウェア等をサービスプロバイダが提供し、利用者が独自に用意したアプリケーションプログラムがインターネット上で稼働する基盤(プラットフォーム)を提供するサービス形態のことを言います。
サーバの設定やインフラストラクチャの設定等は、すべてクラウドコンピューティングサービスの中で行われているため、開発者はシステムの開発に集中できるのです。
一方アプリケーションプログラム開発で、PaaS の環境に応じた制約が生じる場合もあります。
IaaS(Infrastructure as a Service)
「IaaS(Infrastructure as a Service)」とは、クラウドコンピューティングサービスの1つです。
ハードウェアをサービスプロバイダが提供し、利用者が独自に用意した基本ソフトウェアやアプリケーションプログラムがインターネット上で稼働するようなサービス形態のことを言います。
IaaSでは利用者はサーバを購入することなく、インターネット越しに仮想サーバを利用でき、OS等の選択にも自由度があるのです。
サーバのホスティングサービスとの違いは、大きくサーバ作成の自由度と料金体系にあります。
多くのホスティングサービスが月額固定料金ですが、IaaSの場合はサーバや記憶装置等の利用に対する従量課金を採用しているケースが多くなっているのです。
またハードディスク容量や、CPU のスペックなどを比較的自由に設定できる点も特徴です。
その他のクラウドコンピューティングサービスとしては、DaaS(Desktop as a Service)があります。
ネットワークを通じて、クラウド上にあるデスクトップを利用できるようにしたサービス形態です。
ASP(Application Service Provider)
その他のソリューションとして「ASP」があります。
「ASP(Application Service Provider)」とは、インターネット上でソフトウェアの提供を行うサービス形態、またはそのような事業を営む事業者のことを指すこともあります。
利用料金はソフトウェアの利用時間により課金されるケースが多く、ソフトウェアのインストールやバージョンアップ等を社内で行う必要がないことから、運用コストの削減に効果があるのです。
ホスティングサービス
「ホスティングサービス」とは、プロバイダなどの事業者が保有するサーバや通信機器を、インターネット等を経由して借り受けて利用するサービスです。
サーバ1台を1社で借り受けるサービスと、サーバの一区画のみを借り受けるサービスがあります。
ホスティングサービスを利用することで、企業は社内での環境整備やサーバ管理をする必要がなくコスト削減につながるのです。
ただしハードウェアのスペックやOSの環境等は、ホスティングサービス業者に依存するため、自由度がきかないというデメリットもあります。
ハウジングサービス
「ハウジングサービス」とは、自社で用意したサーバをデータセンタなどの環境が整った事業者に預け管理してもらうサービスのことです。
ホスティングサービスに比べ、サーバの機種、セキュリティ対策などが自由に構成できるメリットがあります。
しかし自社で高額のサーバを用意しなくてはならず、また全ての設定を自社でやることで、ホスティングやIaaS に比べてコストがかかるというデメリットもあるのです。
その他には「オンプレミス」があります。「オンプレミス」は、自社内でサーバやソフトウェアなどの情報システムを所有し管理・運用することをいいます。
PoC(Proof of Concept)
PoC(Proof of Concept)とは、コンセプト実証や概念実証と訳され、コンセプト(概念)が実現可能かどうかを検証することをいいます。
アイディアを試作し検証を行って実現可能か否かを判断するのです。
コンセプト通りの結果であれば、本格的に開発を着手することになります。
想定外の結果な場合は、コンセプトを再度練り直すのか、コンセプトをあきらめてPoCを終了するのかを判断することになります。
これは以前から医薬品の新薬開発で行われている手法で、最近では長編映画を制作する際に行われることもあります。またテストマーケティングもPoC のひとつです。