【介護福祉士になろう】第33回(令和2年度)介護福祉士国家試験 筆記試験問題解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

問題29

Fさん(85歳、女性)は、中等度の認知症(dementia)がある。同居していた娘の支援を受けて生活してきたが、症状が進行してきたために、介護老人福祉施設への入所が決まった。
入所当日、介護福祉職はFさんの付き添いで来た娘に初めて会った。介護福祉職が、「はじめまして。よろしくお願いします」と挨拶をすると、娘は少し緊張した様子で、「お願いします」とだけ答えた。娘は、介護福祉職の問いかけに応えるまで時間がかかり、また、あまり多くを語ることはなかった。
持参した荷物の整理を終えて帰宅するとき、娘が寂しそうに、「これから離れて暮らすんですね」とつぶやいた。

帰宅するときの娘の発言に対する、介護福祉職の共感的な言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「心配しなくても大丈夫ですよ」
2 「私も寂しい気持ちは一緒です」
3 「元気を出して、お母さんの前では明るく笑顔でいましょう」
4 「お母さんに毎日会いに来てください」
5 「お母さんと離れて暮らすと寂しくなりますね」


正解は5です。

娘の発言には「寂しい気持ち」が含まれており、それに対して介護福祉職が「お母さんと離れて暮らすと寂しくなりますね」と共感的な言葉をかけることで、娘の気持ちを受け止め、理解を示し、共感することができます。このような共感的な言葉かけは、相手の気持ちを理解することで、信頼関係を築くことにつながります。一方で、娘の気持ちを否定したり、あるいは軽視したりするような言葉をかけると、相手との信頼関係を損なうことになりかねません。

「1 心配しなくても大丈夫ですよ」: この言葉は、娘の感情を軽視する可能性があります。娘が心配している気持ちを無視して、介護福祉職が「大丈夫」と一方的に伝えることは、娘の不安を解消するどころか、不信感を与えてしまう可能性があります。

「2 私も寂しい気持ちは一緒です」: 介護福祉職が自分の感情を述べることは、本来は避けるべきです。介護福祉職が自分の寂しさを表明することで、娘の気持ちに焦点が当てられず、娘が不安に感じる可能性があります。

「3 元気を出して、お母さんの前では明るく笑顔でいましょう」: この言葉は、娘に対して責任を感じさせる可能性があります。娘にとっては、母親と離れるということが大変なストレスになっている可能性があるため、自分が元気で明るく振る舞うことができないこともあります。このような言葉をかけられることで、娘は自分が「しっかりしなければならない」というプレッシャーを感じてしまうかもしれません。

「4 お母さんに毎日会いに来てください」: この言葉は、娘に対して責任を感じさせる可能性があります。また、毎日会いに来ることができない状況にある場合、このような言葉をかけられることで、娘は自分が十分なサポートを提供できていないと感じる可能性があります。

以上の理由から、5番目の「お母さんと離れて暮らすと寂しくなりますね」が最も適切な共感的な言葉かけとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*