問題2
自宅で生活しているAさん(87歳、男性、要介護3)は、7年前に脳梗塞(cerebral infarction)で左片麻痺{ひだりかたまひ}となり、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用していた。Aさんは食べることを楽しみにしていたが、最近、食事中にむせることが多くなり、誤嚥{ごえん}を繰り返していた。誤嚥{ごえん}による緊急搬送の後、医師は妻に、「今後も自宅で生活を続けるならば、胃ろうを勧める」と話した。妻は仕方がないと諦めていたが、別に暮らしている長男は胃ろうの造設について納得していなかった。長男が実家を訪れるたびに、Aさんの今後の生活をめぐって口論が繰り返されていた。妻は訪問介護員(ホームヘルパー)にどうしたらよいか相談した。
介護福祉職の職業倫理に基づく対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「医療的なことについては発言できません」
2 「医師の判断なら、それに従うのが良いと思います」
3 「Aさん自身は、どのようにお考えなのでしょうか」
4 「息子さんの気持ちより、一緒に暮らす奥さんの気持ちが優先されますよ」
5 「息子さんと一緒に、医師の話を聞きに行ってみてください」
介護福祉職の職業倫理に基づく対応として、最も適切なものは「3 Aさん自身は、どのようにお考えなのでしょうか」です。
この状況での最も適切な対応は、Aさん自身が胃ろうを希望するかどうかを確認することです。介護福祉職は、利用者の意思を尊重することが求められます。そのため、介護福祉職員は利用者本人に直接、意見を聞いて、その希望に従うよう努める必要があります。
医師の意見や家族の意見は尊重しなければなりませんが、最終的な決定は利用者本人に委ねられるべきです。そのため、選択肢1は適切ではありません。また、選択肢2は医師の判断に従うことが重要であることを示唆していますが、これは利用者の自己決定権を無視することにつながる可能性があります。
選択肢4は、介護福祉職員が優先すべき対象が妻であると示唆していますが、これは家族間の対立を助長する可能性があります。
選択肢5は、家族と共に医師の話を聞くことが重要であることを示唆していますが、まずは利用者本人の意見を確認することが先決であり、その上で家族と共に医師の話を聞くことが望ましいです。