問題122
次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事例〕
Aさん(10歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)であり、多動で発語は少ない。毎日のように道路に飛び出してしまったり、高い所に登ったりするなど、危険の判断ができない。また、感情の起伏が激しく、パニックになると止めても壁に頭を打ちつけ、気持ちが高ぶると騒ぎ出す。お金の使い方がわからないため好きなものをたくさん買おうとする。
現在は、特別支援学校に通っており、普段の介護は母親が一人で担っている。
問題122 Aさんのサービス利用開始から6か月が経ち、支援の見直しをすることになった。Aさんの現状は、散歩では周囲を気にせず走り出すなど、まだ危険認知ができていない。介護福祉職はルールを守ることや周りに注意するように声かけをするが、注意されるとイライラし、パニックになることがある。
一方で、スーパーではお菓子のパッケージを見て、硬貨を出し、長時間その場から動こうとしない。介護福祉職は、Aさんがお菓子とお金に注目している様子から、その力を引き出す支援を特別支援学校に提案した。
介護福祉職が特別支援学校に提案した支援の背景となる考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 エンパワメント(empowerment)
2 アドボカシー(advocacy)
3 ピアサポート(peer support)
4 ノーマライゼーション(normalization)
5 インクルージョン(inclusion)
正解は1の「エンパワメント(empowerment)」です。
エンパワメントとは、個人や集団の能力や力を引き出し、自己決定や自己実現を促すことを指します。Aさんの場合、お金とお菓子に注目することができるため、介護福祉職はその力を引き出すことを提案しました。これにより、Aさん自身ができることを見つけ、自己決定や自己実現につなげることができるようになります。
アドボカシーは、利用者の権利や利益を代弁することであり、ピアサポートは同じような経験を持つ人たちがお互いに支え合うことです。ノーマライゼーションは、障害を持つ人たちが普通の社会生活を送ることができるようにすることであり、インクルージョンは、障害の有無にかかわらず、すべての人が平等に参加できる社会をつくることです。