問題115
次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事例〕
Jさん(83歳、女性)は一人暮らしである。人と付き合うのが苦手で、近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。
80歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症{へんけいせいしつかんせつしょう}(knee osteoarthritis)と診断されたが、近くのスーパーへの買物や、近所の散歩には出かけていた。
1か月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。食事量が減って痩せてきてしまい、一日中、座ってテレビを見て過ごしている。
問題115 Jさんは、食事量は回復したが、膝に痛みがあり、家の中ではつかまり歩きをしていた。要介護認定を受けたところ要支援2と判定され、家の近くの第一号通所事業(通所型サービス)を利用することになった。
通所初日、車で迎えに行くと、Jさんは、「心配だからやっぱり行くのはやめようかしら」と介護福祉職に言い、玄関の前からなかなか動かなかった。
このときの介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「急ぎましょう。すぐに車に乗ってください」
2 「心配なようですから、お休みにしましょう」
3 「歩けないようでしたら、車いすを用意しましょうか」
4 「初めてだから心配ですね。私もそばにいるので一緒に行きませんか」
5 「Jさんが行かないと、皆さん困ってしまいますよ」
通所初日に、Jさんが玄関の前で動かなくなってしまったとき、介護福祉職が行うべき最も適切な言葉かけは、4「初めてだから心配ですね。私もそばにいるので一緒に行きませんか」です。
この場合、Jさんは初めての通所で不安がある状態であるため、急ぎましょうという急かすような言葉かけや、行かないと皆さん困ってしまいますよといった圧力をかけるような言葉かけは、かえってJさんを不安にさせてしまいます。また、心配なようですから、お休みにしましょうという言葉かけは、介護福祉職がJさんの意向を尊重しているようにも受け取られてしまい、逆にJさんの行きたい気持ちをそぐことになります。
そこで、介護福祉職は、Jさんの不安を取り除くように話しかけ、一緒に行くことで安心感を与えるように言葉を選びます。また、Jさんの状況に応じて、車いすを用意するなどのサポートも提供することが必要です。