総合問題
問題114
次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事例〕
Jさん(83歳、女性)は一人暮らしである。人と付き合うのが苦手で、近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。
80歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症{へんけいせいしつかんせつしょう}(knee osteoarthritis)と診断されたが、近くのスーパーへの買物や、近所の散歩には出かけていた。
1か月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。食事量が減って痩せてきてしまい、一日中、座ってテレビを見て過ごしている。
問題114 現在のJさんに心配される病態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 フレイル(frailty)
2 不定愁訴
3 寛解
4 不穏
5 せん妄(delirium)
現在の症状から考えると、最も適切な心配される病態は1の「フレイル(frailty)」です。
フレイルとは、高齢者に見られる身体的・心理的な状態の一つで、日常生活動作の制限、体力低下、栄養不良、認知機能の低下、社会的孤立などが含まれます。Jさんの場合、右膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなったことが、日常生活動作の制限や体力低下につながっている可能性があります。また、食事量が減って痩せてきてしまい、座ってテレビを見て過ごすことが多くなったことも、栄養不良や社会的孤立の兆候として考えられます。
フレイルには、高齢者に見られる疾患の進行や合併症、社会的要因などが関連していることが多いため、Jさんの病態を改善するためには、身体的な治療だけでなく、社会的なサポートやケアが必要です。医師やケアマネージャーなどの専門家に相談し、適切な支援を受けることが重要です。