問題112
Hさん(80歳、男性)は嚥下機能{えんげきのう}の低下があり、胃ろうを1か月前に造設して、自宅に退院した。現在、胃ろう周囲の皮膚のトラブルはなく、1日3回の経管栄養は妻と介護福祉職が分担して行っている。経管栄養を始めてから下肢の筋力が低下して、妻の介助を受けながらトイレへは歩いて行っている。最近、「便が硬くて出にくい」との訴えがある。
Hさんに対して介護福祉職が行う日常生活支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 入浴時は、胃ろう部を湯につけないように注意する。
2 排泄時{はいせつじ}は、胃ろう部を圧迫するように促す。
3 排便は、ベッド上で行うように勧める。
4 経管栄養を行っていないときの歩行運動を勧める。
5 栄養剤の注入量を増やすように促す。
Hさんに対して介護福祉職が行う日常生活支援に関して、適切な選択肢は4です。
1 入浴時は、胃ろう部を湯につけないように注意する。 → 胃ろう部に湯をかけることで感染症のリスクが高まるため、湯につけないように注意することは正しいです。
2 排泄時は、胃ろう部を圧迫するように促す。 → 胃ろう部を圧迫することで、胃内容物が逆流し、胃ろうが外れるリスクがあるため、促すべきではありません。
3 排便は、ベッド上で行うように勧める。 → Hさんが歩行できる状態であるため、ベッド上で行う必要はありません。
4 経管栄養を行っていないときの歩行運動を勧める。 → 経管栄養を行うことで、栄養補給は行えますが、運動不足になりやすく、筋力低下が進むことがあります。そのため、経管栄養を行っていない時には、歩行運動を勧めることが適切です。
5 栄養剤の注入量を増やすように促す。 → 注入量を増やすことで、消化管負担が増え、副作用や合併症のリスクが高まるため、無謀な栄養量の増加は避ける必要があります。