第32回(令和元年度)介護福祉士国家試験 筆記試験問題解説

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問題103

Jさん(80 歳, 男性)は, アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され,半年前から認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。最近,Jさんは,トイレに行きたいと言ってグループホーム内を歩き回った後に,失禁するようになった。
Jさんの排泄の状態として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 反射性尿失禁
2 心因性頻尿
3 溢流性尿失禁
4 機能性尿失禁
5 腹圧性尿失禁


選択肢3の「溢流性尿失禁」が適切です。
認知症により、トイレを見つけることができず、尿意を感じた時にすぐにトイレに行くことができない場合があります。そのため、尿がたまっている状態が続き、膀胱がいっぱいになり過ぎると、膀胱圧が高くなって尿が漏れ出すことがあります。これが溢流性尿失禁です。
選択肢1の「反射性尿失禁」は、中枢神経系の疾患などにより、膀胱の収縮と同時に尿が漏れ出ることを指します。Jさんの場合は、溢流性尿失禁の症状が出ているため、反射性尿失禁ではありません。
選択肢2の「心因性頻尿」は、ストレスや不安などの精神的要因により、頻尿や尿意を感じることがありますが、Jさんの場合は、溢流性尿失禁の症状が出ているため、心因性頻尿ではありません。
選択肢4の「機能性尿失禁」は、膀胱の収縮や括約筋の強化がうまく機能しないことにより、尿が漏れ出ることを指します。Jさんの場合は、膀胱がいっぱいになって尿が漏れ出る溢流性尿失禁の症状が出ているため、機能性尿失禁ではありません。
選択肢5の「腹圧性尿失禁」は、くしゃみや笑い、腹筋の収縮などにより、膀胱圧が急激に上昇することにより、尿が漏れ出ることを指します。Jさんの場合は、尿意を感じた時にトイレに行くことができなかったために膀胱がいっぱいになってしまった溢流性尿失禁の症状が出ているため、腹圧性尿失禁ではありません。

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