第32回(令和元年度)介護福祉士国家試験 筆記試験問題解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

問題94

Gさん(56 歳,男性)は,糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)に伴う眼底出血を繰り返して,治療を受けていた。医師から失明は避けられないと説明を受けた。その後,Gさんは周囲に怒りをぶつけたり,壁に頭を打ちつけたりという行動がみられるようになった。
このときのGさんの障害受容の状況として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ショックではあるが,不安はそれほど強くない。
2 自分には障害はないと否認する。
3 前向きに自己努力を図ろうとする。
4 否認ができずに混乱する。
5 新しい価値観や役割を見いだす。


正解は4の「否認ができずに混乱する。」です。
Gさんは失明という重大な障害に直面しており、怒りや自傷行為といった反応が現れたことから、障害を受容することができずに混乱している可能性が高いです。このような状況では、個人の人格的特徴や社会的支援の程度などが関与して、障害受容の方法や速度に違いが生じることがあります。障害受容に関しては、患者自身の意思決定や自己決定権を尊重し、必要に応じて情報提供や支援を行うことが重要です。
「1 ショックではあるが,不安はそれほど強くない」という選択肢は不適切です。Gさんは周囲に怒りをぶつけたり,壁に頭を打ちつけたりという行動がみられるようになったことから、不安がそれほど強くないとは考えにくいからです。
「2 自分には障害はないと否認する」という選択肢は不適切です。医師から失明は避けられないと説明を受けたGさんが、自分には障害がないと否定することは、現実逃避となってしまい、不適切です。
「3 前向きに自己努力を図ろうとする」という選択肢は不適切です。Gさんは周囲に怒りをぶつけたり,壁に頭を打ちつけたりという行動がみられたため、自己努力よりも負の感情が先行しているため、不適切です。
「5 新しい価値観や役割を見いだす」という選択肢は不適切です。Gさんが周囲に怒りをぶつけたり,壁に頭を打ちつけたりという行動がみられたことから、新しい価値観や役割を見いだすような前向きな変化は現れていないため、不適切です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*