第32回(令和元年度)介護福祉士国家試験 筆記試験問題解説

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問題74

Bさん(82 歳,男性)は脳卒中(stroke)による右片麻痺がある。ほとんどベッド上の生活で,排泄もおむつを使用している。一週間前から咳せきと鼻汁があり,37.2℃の微熱で,元気がなく,いつもよりも動きが少なかった。食欲も低下して食事を残すようになっていた。今日,おむつの交換をしたときに仙骨部の皮膚が赤くなり一部に水疱ができていた。
Bさんの皮膚の状態とその対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 圧迫によって血流が悪くなったためである。
2 仙骨部にこうしたことが起こるのは,まれである。
3 食事量の低下とは無関係である。
4 体位変換は,できるだけ避ける。
5 おむつの交換は,できるだけ控える。


適切な選択肢は「4 体位変換は,できるだけ避ける。」です。
この状況では、Bさんはベッド上で排泄しており、動きが制限されています。そのため、体位変換を行わないと、長時間同じ姿勢が続いてしまい、皮膚の圧迫や擦過によって、床ずれ(pressure ulcer)が発生する可能性が高くなります。また、感染症の症状があり、免疫力が低下しているため、皮膚が傷つきやすい状態にあると考えられます。このため、適切なタイミングで適度な体位変換を行い、皮膚を清潔に保ち、皮膚トラブルを予防することが重要です。
Bさんの状態は,褥瘡(pressure ulcer)と考えられます。褥瘡は,長時間同じ体勢でいることによって,皮膚の一部分が圧迫され,その結果,皮膚や下層組織が損傷してできるものです。特に,車椅子やベッドに長時間座っている高齢者や身体障害者に発生しやすいとされています。Bさんは,脳卒中による右片麻痺のためほとんどベッド上の生活であり,排泄もおむつを使用していることから,圧迫が原因で褥瘡ができた可能性が高いです。また,咳せきや鼻汁があり,微熱があることから,感染症の症状もあるため,皮膚の損傷が悪化するリスクもあります。
このような場合,まずは皮膚の清潔を保ち,おむつの交換頻度を増やすことが重要です。また,体位変換を定期的に行い,圧迫を軽減することも必要です。さらに,食事量が低下しているため,栄養状態を見直し,不足している栄養素を補うことも大切です。褥瘡が進行している場合は,医療機関を受診し,適切な処置を行う必要があります。

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