第32回(令和元年度)介護福祉士国家試験 筆記試験問題解説

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問題66、67

〔事 例〕
Dさん(77歳,男性,要介護2)は,妻と二人で暮らしている。定年まで,高校の体育の教師で野球部の監督をしていた。起居動作に問題はないが,認知症(dementia)と診断されたため,現在,通所介護(デイサービス)を週3回利用している。通所介護(デイサービス)では,短期目標を「役割を持ち意欲的に生活する(3か月)」と設定し,体操を指導する役割をお願いしていた。
実施1 か月が経過した頃,テレビで高校野球を見たDさんは暗い表情で,「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と嘆いていた。この日は,担当の介護福祉職が体操の指導をお願いしても,「今すぐ行かなければ」と断った。
問題66 Dさんが体操の指導を断った理由の解釈として,最も可能性が高いものを1つ選びなさい。
1 介護福祉職に依頼されたため。
2 妻に会いに自宅に帰りたいため。
3 高校野球のことが気になっているため。
4 立ち上がり動作が不安定なため。
5 体育の授業を行うため。
問題67 その後も体操の指導を継続していたDさんは,参加者から体操の順番が違うと指摘されて指導の意欲を失い,一人でいることが多くなった。しかし,体操の時間になると遠くからその様子を眺めていた。
Dさんが今後も現在の役割を継続するために,優先して取り組むべき課題として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 体操に対する関心を取り戻すこと。
2 体操の内容を変更すること。
3 体操を指導する自信を回復すること。
4 体操の正しい順番を学び直すこと。
5 指摘した参加者に謝ること。


問題66の回答:「3 高校野球のことが気になっているため。」
Dさんはかつて高校の野球部監督をしており、野球に対する思い入れが深いことが文章中に示されています。また、野球を見ていた際には「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と嘆いていたことから、現在でも野球に対する思いが残っていると考えられます。そのため、通所介護中でも野球を思い出し、そのことが気になっていると推測できます。

問題67の回答:「1 体操に対する関心を取り戻すこと。」
Dさんは体操の指導をしていたものの、参加者から指摘を受けて意欲を失ってしまい、一人でいることが多くなったという状況が示されています。しかし、体操の時間になると遠くからその様子を眺めていたことから、まだ体操に対する興味があると考えられます。そのため、まずは体操に対する関心を取り戻すことが重要であり、それによって指導の意欲が復活する可能性があります。

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