問題64、問題65
〔事 例〕
Cさん(75歳,男性,要介護1)は,脳口塞(cerebral infarction)を発症した。2か月前から在宅復帰を目的として介護老人保健施設に入所している。次女は遠方から時々面会に来ているが,長女とは音信不通の状態が続いている。
Cさんは現在,右片麻痺で歩行には口つえを使用している。担当の理学療法士から,「レクリエーションには積極的に参加するなど意欲はあるが,歩行状態が思うように改善しないと悩んでいた」との報告があった。
その後,歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり,居室のベッドで寝て過ごすことが多くなった。また,時々尿失禁をするようになった。
Cさんは,「自宅に帰りたいのに,このまま車いすになったらどうしよう」と担当の介護福祉職に打ち明けた。
問題64 Cさんの介護過程の展開に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 長女から入所前の情報を収集する。
2 現状を再アセスメントし,生活課題を抽出する。
3 自宅に戻った後の介護計画を立案する。
4 尿失禁に対応する介護計画の実施を優先する。
5 介護計画の最終的な評価は理学療法士が担当する。
問題65 次の記述のうち,Cさんの短期目標として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 車いすの使用方法を理解する。
2 居室のベッドで安静に過ごす。
3 次女との同居を実現する。
4 今まで以上に,意欲的に歩行訓練に取り組む。
5 居室を出てレクリエーションに参加する。
問題64の回答:「2 現状を再アセスメントし,生活課題を抽出する。」
Cさんが歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり,居室で過ごす時間が増え,尿失禁も発生していることから,その原因を再度アセスメントし,生活課題を抽出することが重要となります。例えば、歩行に関する課題や身体機能の低下、寝たきりになりやすい環境の問題、排泄に関する問題などがあると考えられます。これらの課題を再度洗い出し、その後介護計画を立てていくことが必要です。
問題65の回答:「4 今まで以上に,意欲的に歩行訓練に取り組む。」
Cさんが現在悩んでいる最大の問題は歩行に関するものです。そのため、短期目標としては歩行訓練に意欲的に取り組むことが適切です。具体的には、理学療法士とのコミュニケーションを密にし、歩行訓練において自信をつけ、安定した歩行を目指すことが必要です。そのためには、適切な運動プログラムを組むことや、介護福祉職との協力によって、安全かつ快適な環境を整えることが重要です。