第32回(令和元年度)介護福祉士国家試験 筆記試験問題解説

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総合問題

問題114、115

次の事例を読んで,問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事 例〕
Lさん(78歳,女性)は一人暮らしをしている。「もったいない」が口癖で,物を大切にし,食べ物を残さないようにして生活している。
半年前,脳の細い血管が詰まっていることがわかり,入院して治療を受けた。左半身にしびれがあり,右膝の変形性関節症(osteoarthritis)で痛みもあったために,介護保険の申請をしたところ,要介護1 になった。
家事はできるだけ自分でしたいという希望から,週に2 回,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して,掃除と調理を訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒にしている。
問題114 Lさんが入院するきっかけになった脳の疾患として,適切なものを1つ選びなさい。
1 ラクナ口塞(lacunar infarction)
2 くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)
3 慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)
4 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)
5 高次脳機能障害(higher brain dysfunction)
問題115 ある日,Lさんと一緒に調理していた訪問介護員(ホームヘルパー)は,賞味期限が2 日前に切れた缶詰を見つけた。Lさんに対して訪問介護員(ホームヘルパー)がとる行動として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 黙って処分する。
2 食べてはいけないと伝える。
3 食べやすいように,缶のふたを開けておく。
4 食べ方を相談する。
5 保存容器に移して保管するように勧める。
問題116 介護保険の申請をしてから半年がたち,更新申請の時期になった。この半年でLさんは,訪問介護員(ホームヘルパー)が来ない日もいすに座って調理をするなど,回復してきている。更新申請の結果,Lさんは要支援1 になった。
次のうち,Lさんの介護予防サービス・支援計画書を作成する者として,適切なものを1つ選びなさい。1 訪問介護事業所の訪問介護員(ホームヘルパー)
2 生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター
3 地域包括支援センターの主任介護支援専門員
4 訪問介護事業所のサービス提供責任者
5 生活介護のサービス管理責任者


問題114:適切な答えは1 ラクナ口塞(lacunar infarction)です。
ラクナ口塞は、小さな脳の血管が詰まって起こる脳梗塞の一種で、脳梗塞の中でも比較的頻度が高く、高齢者に多く見られます。症状としては、軽度の片麻痺や感覚障害、言語障害などが現れます。
Lさんが脳の細い血管が詰まっていることがわかり、入院して治療を受けたということから、ラクナ口塞が原因である可能性が高いです。左半身にしびれがあり、軽度の片麻痺があることも、ラクナ口塞の症状に合致しています。
脳梗塞は、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、運動不足などの生活習慣病が原因となることが多く、予防のためには生活習慣の改善が重要です。また、脳梗塞の治療には、血栓溶解療法や血管内治療などがありますが、早期発見・早期治療が重要であるとされています。
問題115:Lさんと一緒に調理していた訪問介護員(ホームヘルパー)が、賞味期限が2日前に切れた缶詰を見つけた場合、最も適切な行動は「2 食べてはいけないと伝える」です。
食品の賞味期限は、製品が新鮮である期間であり、この期限を過ぎると品質が劣化し、風味や栄養価が低下する可能性があります。賞味期限を過ぎても食べることができるものもありますが、食中毒や健康被害のリスクがあるため、食べることは避けるべきです。
訪問介護員(ホームヘルパー)は、Lさんに対して、食品の賞味期限について説明し、賞味期限が切れた缶詰を食べることは避けるべきであることを伝えるべきです。ただし、賞味期限が切れた食品をそのまま捨てるのではなく、正しい処理方法についても教えることが重要です。
問題116:適切な答えは、「3 地域包括支援センターの主任介護支援専門員」です。
介護予防サービス・支援計画書は、介護が必要になる前に、介護予防のために作成されるものであり、高齢者や障害者が自立した生活を送るための支援内容が記載されています。介護保険制度においても、介護予防のためのサービスが提供されています。
Lさんは要支援1となっているため、今後も介護が必要になる可能性があります。そのため、介護予防サービス・支援計画書を作成することが望ましいです。
しかし、訪問介護員(ホームヘルパー)やサービス提供責任者、生活介護のサービス管理責任者などは、具体的な介護サービスを提供する側の立場にあるため、介護予防サービス・支援計画書を作成することはできません。
一方、地域包括支援センターの主任介護支援専門員は、地域の高齢者や障害者の自立支援や、介護予防に取り組んでいる専門職であり、介護予防サービス・支援計画書を作成することができます。したがって、Lさんの介護予防サービス・支援計画書を作成する者として、地域包括支援センターの主任介護支援専門員が適切です。

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