介護業界の人手不足は深刻である。
令和3年度の「事業所における介護労働実態調査(事業所調査)」では、介護事業所全体における人材の過不足状況は、「大いに不足」は8.5%、「不足」は21.5%、「やや不足」は33.0%、「適当」は36.6%、「過剰」は0.4%であった。
「大いに不足」「不足」「やや不足」を合計した「不足感」を経年で見ると、令和3年度は前年を上回り、63.0%。
自力で生活がままならない方に手を差し伸べる介護の仕事は、人間の尊厳や生死に関わると言っても過言ではない不可欠な仕事だ。
介護施設での労働者の確保は、介護業界にとって死活問題である。
人が最後まで自分らしく生きるための手助けができる介護の仕事は、とても社会貢献度の高く誇らしいものであるべきだ。
介護施設には様々な種類や形態がある。
数多有る介護施設の中で、介護付き有料老人ホームでのお仕事について具体的に見ていこう。
介護付き有料老人ホームで仕事をしたことがある人のリアルな声から、介護のお仕事の魅力や苦労を赤裸々に披露しよう。
介護付き有料老人ホームとは
介護付き有料老人ホームは要介護のご高齢者が安心して暮らせるよう配慮された環境・設備を備え、食事の提供や生活相談などの生活援助サービスも提供している施設です。
さらに、入浴や着替え、排せつ時に行う身体介護サービスの提供も行っています。
自立の方から要介護5の方まで入れるところが多く、入居対象が広いです。
有料老人ホームの中で、「介護付き有料老人ホーム」は全体の約6割を占めており、住宅型有料老人ホームが4割程度となっています。
介護付き有料老人ホームは、24時間に渡って介護スタッフが常駐しているなど、介護サービスが非常に充実している点が特徴です。
自立している方から介護度が重い人まで幅広い方々が利用可能であり、多くの高齢者をサポートしています。
ただし入居契約がホテルと同様の「利用権契約」が多く、サービス付き高齢者向け住宅の「賃貸借契約」と比較して居住の権利が弱いと言う側面もあります。
また、基本的に介護を提供する事を前提としているので、自立の方や軽介護の方には不向きな側面もあります。
【介護職歴5年以内】介護付き有料老人ホームでのお仕事
介護の仕事は、最高の社会貢献活動
性別 | 女性 |
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年齢 | 30歳 |
勤務場所 | 介護付き有料老人ホーム |
勤務期間 | 26歳(2017年)から3年間 |
資格 | 介護職員初任者研修 |
フルタイム | 年収340万円 |
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かつて営業の仕事をしていましたが、自分にはその仕事が向いていないと感じていました。
昔の私のように、仕事があまり楽しくなかったり、やりがいがなかったりする人は、もしかしたらボランティアで社会貢献をしてやりがいを得よう、などと思うこともあるかもしれません。
そんな中、介護の仕事なら仕事自体が社会貢献みたいなものなので、かなり自分の価値観とマッチしていました。
営業職は数字優先ですし、売れなければ仕事をしたことにならないような、そんな雰囲気がありました。
それに比べて介護の仕事は、たとえば洋服を着せるという行為であっても、利用者さんのためになる。
喜ばれることが多いのも、やりがいになりました。
仕事のすべてに充実感があり、営業職のときとの違いは大きくて満足感がとても得られた職業でした。
思い切って転職して良かったと思います。
前職に比べて、給料は下がりましたが、毎日「やりがい」を感じながら働いています。
働き始めた時は、入浴補助で失敗して、お年寄りの方に怒られたり、コミュニケーションの仕方が良く分からず、戸惑いましたが、3ヶ月目くらいから慣れてきました。
自分には介護業界での仕事が肌に合っているし、満足できた職種でした。
どんな職場でもそうだと思いますが、介護職でも、職場の人間関係に悩む人も少なくないです。
介護施設で働く場合、毎日施設内で同じ職員と仕事をする環境から、人付き合いが閉鎖的になりやすいという特徴もあって、職員との介護に対する考えの違いや、利用者への接し方などで悩む人も多いです。
それに、経営者の理念や施設の運営方針に不満を持ったこともあります。
具体的な例でいうと、利用者のための働きをしたいと考えていても、経営者側に売り上げばかりを求められる、などです。
職員や利用者に対して不満がなくても、職場の運営方針に嫌気が刺したことがありました。
身体介護においては、自分の身体の使い方や姿勢に気をつけることで、身体にかかる負担は軽減することができます。
でも一度腰を痛めると、一旦よくなってもぶり返してしまうので、無理な姿勢や力任せに介助を行ってしまったときは数日間辛かったです。
身体に負担をかけない介助の仕方を習得し、自分の筋力が落ちてしまわないように、下肢・体幹のトレーニングを日頃から習慣にして「きつい・大変」と感じない体づくりをしておくこともおすすめします。
人生の大先輩である入居者とお話をするのが、楽しく勉強になる
性別 | 女性 |
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年齢 | 40歳 |
勤務場所 | 介護付き有料老人ホーム |
勤務期間 | 30歳(2011年)から1年間 |
資格 | 介護職員初任者研修、認定心理士、社会福祉士 |
アルバイト | 時給850円 |
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私は、介護付き有料老人ホームで入居者さんの生活支援していました。
生活支援のなかには、一つは食事介助があります。
部屋で付きっきりで食事をとる手助けの他にも、ご自身で食堂などに食べに行く方にも支援を行います。
食堂にご案内したり、自力で行くことができない方は部屋まで迎えに行き、食べ終わると部屋まで送っていました。 入居者の多くは服薬をしており、薬の飲み忘れや湿布の貼り忘れがないか確認をしていました。
その他、排せつ介助であったり、夜勤の仕事で泊まりの仕事があります。
職員が入居者の食事を作っていましたが、私自身も調理をしていました。
そのような業務のなかで時間があれば入居者の方のお話を伺ったりする機会もあります。
入居者の方とお話をすることが私としても勉強になりました。
その方の生きてきた歴史から、この地域の歴史など私自身が知らなかったことを聞くことができたことは貴重な経験です。
また、認知症があったり、意思疎通が通じにくい方への声かけやお話をすることもあり、最初は意思が全く通じない方だと思い込んでいました。
しかし、そうした方と関わっていくなかで、その方の癖や言動から思いを掴むことができることもあることを学んだのです。
この体験は自分が持っていた偏見に気づかせてくれるものでした。
介護の仕事は、自分より少し先を行く方たちと関わるなかで、自分の生き方や考え方に影響を与えるお仕事だったと思います。
それがやりがいにつながっていたのだと今では思います。
入居者の生活支援ということで、介護では生活に関することは何でもするようなところがあると思います。
ベットから車いすに移動したり、またはその逆でベットに移動したりと肉体的な労働もあります。
そのあたりの介助を上手くできる方は良いですが、苦手な方は練習が必要です。
腰を痛めるという話を聞いていたので自分はコルセットをつけたり、勤務後はストレッチをするなど慎重にしていました。
また、勤務では、この時間までにこの仕事をしないといけないといったスケジュール感が必要になる仕事もあり、時間に追われていることもあります。
仕事に追われ、十分に入居者さんと話ができないことがありました。
良い職員さん達や職場であれば、お互いを支え合って活動されていると思います。
私が勤めたところは連携が取れていたと思います。このような仕事内容ですが、もう少し時給や給与を上げてほしいと思うところがあります。
人のいのちを支える職として介護職の待遇を改善してほしいのが率直な願いです。
一事業所、施設の取組ではなく、国がサポートや仕組み作りをしてほしいものでもあります。
やりがいがあるけれども生活できないという方で別の仕事に変わった方も何人も聞きました。
利用者様の生活や身の回りのケアを幅広くこなす介護の仕事は、もはや何でも屋さん
性別 | 男性 |
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年齢 | 38歳 |
勤務場所 | 介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリテーション) |
勤務期間 | 24歳(2008年)から4年間 |
資格 | 介護職員初任者研修、介護職員実務者研修 |
フルタイム | 年収300-450万円 |
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出勤すると、前日までにの利用者様の状態を、その日にいる出勤者に聞き把握します。
主に一人で排泄処理が出来ない利用者様のパット、オムツの交換、排尿、排便で汚れた陰部を綺麗にします。
一人で寝起きが出来ない利用者様を寝床から起こしたり、寝かしたりもするのです。
食事時に食堂で、一人で食事が取れない利用者様の食事介助。
そして食後は口腔ケア、歯磨きや入れ歯のある利用者様の入れ歯を外して、消毒をして口の中を綺麗にします。
さらに館内の担当フロア内を清掃です。食堂のテーブル、手すり、トイレ、廊下を消毒スプレーやモップで綺麗にします。
入浴がある時は、利用者様が入浴前に着用していた衣服を洗濯をして、洗濯物を干したり、乾いたら畳んで利用者様のお部屋のタンスの中へ。
利用者様の入浴介助も行います。主に衣服の着脱、湯船に浸かる、身体全体や頭を洗うのです。
日中夜間問わず、利用者様から呼び出しがあれば、すぐに要望の対応。
無資格・未経験で介護業界に挑戦をしましたので、まずはオムツ交換が出来ないと、この仕事をしていくのは無理だと思いました。
やり方云々より、やってみて、失敗して、修正しての繰り返しをして、シフトの頭数に入れてもらいます。
夜勤では休憩と仮眠は取れますが、常に気を張っていなければいけず、休憩は取れても仮眠をとる余裕がありません。
仕事に慣れてくると、事務や書類等の処理や提出も出てきたり、来客をされた利用者様のご家族様の対応もします。
利用者様の生活必需品やおやつ等の買い物もあり、金銭管理の業務も出てきたり、利用者様の部屋についている備品や電球が切れたら交換。
テレビに異常があれば対応したりともあり、その場合リモコンの電池を一回外して付け直したりです。
ただ単にBS対応でないテレビがBS画面になって壊れたと思い込んでいる結末でした。
もはや介護職という名の何でも屋さんとして動いていたのです。
かなり大変な業務内容でしたけど、私生活にも役立っており、やって良かったと思います。
【介護職歴5~10年】介護付き有料老人ホームでのお仕事
何度も同じことを言う入居者にも、初めて聞いたように演じる非日常的な毎日
性別 | 男性 |
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年齢 | 33歳 |
勤務場所 | 介護付き有料老人ホーム |
勤務期間 | 25歳(2013年)から8年間 |
資格 | 介護福祉士、喀痰吸引等研修 |
当たり前かもしれませんが、入居者の方は十人十色であることです。
その為、その人によって対応を変えなければならないことは想像できるでしょう。
例えば、レクリエーションの声かけの時、「みんな参加してるので、〇〇さんもどうですか?」と声をかけると、「みんながいくなら行く。」という人もいれば、「みんな行くなら私くらい行かなくても良いじゃん。」と言う方もいます。
そういった方には「冒頭の5分だけでもどうですか?」と誘ってみると、「じゃあ、5分だけなら。」と言って参加され、結局最後まで参加するという事も多いです。
ただ「レクリエーションやるのでどうですか?」と聞くなら誰でも出来ますが、どう参加して頂く様に声かけをするのかが介護士の仕事の見せ所です。
私ももちろん、こういった声かけの仕方や言い換えの言葉のレパートリーが全然なく、最初の方は大変でした。
しかし、先輩の方の声かけの仕方を見て学んだりすると、新たな発見が出来たり自分なりの声かけの仕方が出来上がってきたりと、色々と勉強になることは多いです。
介護士は上を目指そうと思えば、その分上へいけるので、そんなところを私は仕事のやりがいだと感じています。
一般の方にとっての非日常が、介護業界では日常になっています。
例えば認知症の方が沢山いて、何回も同じ事を言ってくる方がいます。
会う度に、「ご飯食べていない。」「私もう帰る。」と言われ、日常では「もう食べたよ。」で済む話ですが、介護の世界では否定しないようにしなくてはいけません。
なので、「では、これからご飯の準備してきますね。お部屋でお待ち下さい。」や、「そうなんですね。お気をつけて。最後の一日をお楽しみ下さい。」と言ったような会話を1日何回も繰り返し行います。
職員にとっては、何百回と聞いた訴えであったも、本人にとっては初めての1回目です。
なので、「もう、そのセリフ何回も聞いたよ。」と言いたいところですが、そう言ってはいけないので、役者を気取って、入居者の方に話しを合わせなくてはいけないのが本当に苦労します。
そんな非日常の世界が日常になっているので、介護の経験がない方にとっては初めはとても困惑される方が多いです。
もちろん自分も初めは困惑し、慣れるまでにかなりの時間を要しました。
私は色々な仕事(調理師)やアルバイト(飲食・警備)をしてきましたが、私にとって介護の仕事が最も大変で苦労した仕事です。
「自分の親を預けたいと思える老人ホーム」を理想として毎日利用者と向き合う日々は充実
性別 | 女性 |
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年齢 | 39歳 |
勤務場所 | 介護付き有料老人ホーム |
勤務期間 | 32歳(2015年)から7年間 |
資格 | 社会福祉士、ヘルパー2級 |
フルタイム | 年収約250万円 |
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早番、日勤、遅番、夜勤のシフト制でした。
20人の認知症の方のフロアを2人で担当するのが基本です。
早番は夜勤が残したモーニングケア(入居者さんの朝の身支度)の残りをやり、朝食の準備・片付け、午前中の入浴介助がメイン。
日勤はレクリエーションや、日中の排泄・食事を手伝います。
遅番は午後の入浴介助後、夕食の介助を行ったあと、夜勤と一緒にイブニングケア(寝る前の身支度)を実施。
夜勤は夕食の準備・片付け後、イブニングケアを行い夜間の巡視を行います。
認知症フロアだったので、夜間せん妄などで夜中に置きたり暴れたりする方が数人いらっしゃり、朝まで動き続けるのが日常。
眠れない方にはホットミルクを作ったり、話を聞いたりです。
ナースコールを連打する方もいるので、その都度かけつけたり、トイレ介助をしたり、やることは尽きず結局記録をかけるのは日勤が来たあとになることが多かったです。
休憩時間は昼間の時間帯は割と取れましたが、その時間を利用して記録を書きます。
夜勤は1時間の休憩がありますが、ナースコールがあれば行くので実際は無いも同様でした。
自分の親を預けたいと思える老人ホームを作りたいという志があったので、どの入居者さんも自分の親のように大事に思いながら接していました。
フルタイムだと一緒に過ごす時間が長いので、家族のように(自分たちの孫のように)可愛がってくださる方もいて、関係性ができる経過が嬉しい体験でした。
よく「ありがとう」と言われることがやりがいと言う人が多いですが、実際にはそんな言葉がなくても気持ちが伝わります。
認知症で混乱している方が、自分といるときは落ち着いたり、少し笑顔がみられたりする、それだけでも自分のやりがいにつながっていました。
ひとりひとりの人生を知ろうとすることが大事で、その人が今まで何を大事に生きてきたかを教えてもらいます。
老人ホームに入居してもできるだけ信念を持ち続けてもらえるように、個別にプランを考えることが大変でもありますし醍醐味でもありました。
体力的な部分で苦労することが多いが、一緒にシフトに入る相手によっても負担がだいぶ違ってきます。
介護に対する想いに温度差がある相手との勤務は、ストレスも多かったです。
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