【介護のお仕事のやりがいと苦労】☆介護老人保健(老健)施設のお仕事と実情を赤裸々に暴露

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人は必ず老いるもので、いつ自力で生活することが出来なくなり、介護のお世話になるか完全には見通せない。

年老いた家族の介護を真剣に考えなければならない状況に直面するのも、現実的だろう。

いつ降りかかってきても不思議ではない介護に対して、出来れば自分事として考えたくないと思うものだ。

介護施設には様々な種類や形態がある。

数多有る介護施設の中で、介護老人保健施設でのお仕事について具体的に見ていこう。

老健(ろうけん)と呼ばれることが多い介護老人保健施設で仕事をしたことがある人のリアルな声から、介護のお仕事の魅力や苦労を赤裸々に披露しよう。



介護老人保健施設(老健)とは


介護老人保健施設は特別養護老人ホームと同様に、公的な介護保険施設の一つです。

病気やけがで入院し、病状が落ち着いたもののすぐに自宅に戻ることが困難な方が、入所の対象となります。

介護老人保健施設は在宅復帰を目指す施設であるため、入所期間は概ね3カ月から6カ月程度と短期間です。

もちろんリハビリの進みが遅く、回復に達していない等の理由から自宅に帰れず、長期滞在になる場合もあります。

要介護認定で要介護者と認定された場合、施設のケアマネジャーが作成するサービス計画に基づいてさまざまなサービスが利用できますが、万が一入院治療が必要になった場合は退所となります。

介護老人保健施設の居室は、1室あたり定員は4人以下ですが、2人部屋や個室も多くあります。

現在の介護老人保健施設は、特養と同様、居宅に近い居住環境で日常生活を営めるようにユニットケアを提供しています。

ユニットケアとは、施設に入居している利用者一人一人に尊厳のある個別ケアを目指した介護の手法のことです。具体的には少人数のグループを1つのユニットとして同じメンバーで生活し、決まったスタッフがケアを行います。

その場合、1ユニットごとに常時1人以上、夜間及び深夜は2ユニットごとに1人以上の介護職員又は看護職員が常駐する必要があります。



【介護職歴5年以内】介護老人保健(老健)施設でのお仕事


利用者との信頼関係を構築し、日々変化する状況に臨機応変に対応するのが介護の醍醐味

        
性別女性
年齢38歳
勤務場所介護老人保健施設
勤務期間22歳(2006年)から4年間
資格介護福祉士
フルタイム(1年目)年収350万円程度
フルタイム(2年目以降)年収320万円程度
女性


利用者さんの状態により、口に運ぶところまで介助する方もいれば、配膳のみを行って自分で食べるかたもいらっしゃるので、見守りにて対応します。

ほとんど寝たきりの状態の方は、おむつの交換を行います。

車いすに乗り移動を行える方はトイレへ誘導し、移動やおむつの脱ぎ履きの介助を行うのです。

自分一人でトイレへ行かれる方には、排せつが出来ているか確認します。

立ち上がりが困難な方は、寝たまま入浴できる浴槽で体と頭を全介助にて洗い入浴です。

立ち上がりは行えるが歩行が困難な方は、座ったまま入浴できる浴槽で、本人の手の届かない所など一部介助にて洗い入浴。

歩行可能な方は、一般浴槽に見守りしながら一部洗身、洗髪等手伝い入浴されます。

入浴前後はそれぞれの身体の状態に応じて、衣服の着脱や、ドライヤーでの乾燥、爪切りなどの身だしなみを整える介助です。

車いすからベットへの移り替わりや、車いすでの移動時の介助、歩行器や杖を使う方に付きそい転倒を防止する介助が必要です。

夜勤時には夜の間1時間おきに巡回、コールの対応、おむつの交換等も行います。

利用者さんの洗濯物や衣類の管理、タオル等の洗濯、お茶を配る等の仕事もあります。

仕事に慣れるまでは、利用者さんの性格や身体の症状に応じた関わり方がわかりません。

先輩に教えてもらったり、利用者さんに確認しながら対応するので、利用者さんを待たせてしまうこともあり、しんどく感じていました。

だんだんと接する時間が長くなってくると、利用者さんにも信頼してもらえ、人生経験豊富な利用者さんに、色々話してもらったり教えてもらったりします。

介護の仕事は淡々とこなす作業ではなく、人と人との関わりの中で行うものなので、相手の気持ちや状態も日々変化するので面白みがあり、飽きるということはないです。

ただ力仕事でもあるので、夏の入浴介助はとても暑く、汗だくになります。


日々利用者さんの身体を持ち上げたり、起こしたりの介助があるので、どれだけ気を付けていても、腰や身体を痛めてしまう職員も多くいました。

自分が年を取ってきたときにずっと続けられる仕事かといえば、体力的に厳しいものだと思います。





【介護職歴5~10年】介護老人保健(老健)施設でのお仕事


利用者に事故なく穏やかに過ごしてもらうことが介護士の最大の使命

        
性別女性
年齢39歳
勤務場所介護老人保健施設
勤務期間32歳(2016年)から6年間
資格介護福祉士
フルタイム年収200~260万円程度
女性


利用者が泊まりで介護をする場合、1日の生活を介護することになります。

朝は義歯装置や整容などのモーニングケアに始まり、血圧や体温などのバイタル測定、朝食介助や口腔ケア、排泄介助またはベッド上でのパット交換です。

入浴介助担当日には入浴介助を行います。個浴の他に全介助の方の場合リフト浴にて入浴し入浴中止者には清拭を実施。

利用者のケアをしながら、寝具交換やパットの補充や衣類の整頓等の雑用も行います。

またティータイムやレクリエーションを設けたり、利用者の交流を援助し余暇を過ごしていただくケアも実施します。

昼食介助、夕食介助と人間が生活するうえでの必要な介助を行っているわけです。

認知症や片麻痺、様々な既往による精神や身体障害があり、そこには医療的ケアの知識や対応が必要となります。

看護師在中であれば看護師やドクター、ケアマネージャー、リハビリ師等の様々な専門職との連携が重要になります。介護士単独で成り立つ業務ではありません。

仕事をするうえで職員同士の連携はとても大切なことですが、人それぞれ仕事のペースがあるでしょう。パット交換が早い人がいれば時間がかかる人もいます。丁寧な人もいれば雑な人もいます。

職員間であの人の仕事はどうだ、こうだと愚痴をきくことが良くあります。

日勤者から夜勤者に引き継ぎ仕事をするわけですから他人の仕事が目について当然です。

介護スキルがあがるための会話は必要ですが、ただの愚痴は必要ないとつくづく思ってしまいます。

重要なことは利用者に事故なく穏やかに過ごしてもらうことです。たとえすぐに忘れてしまったとしても「ありがとう。」「嬉しい」という言葉を利用者から聞けるととても嬉しい気持ちになります。


家族や住み慣れた家で生活できないぶん、利用者との交流やリハビリやレクリエーションなど施設での生活を健康で楽しい物にしてほしいと思いながらケアをしているのです。

利用者に対して感情的にならず、穏やかにケアする。自分には向いている仕事で日々やりがいを感じています。





【介護職歴10~15年】介護老人保健(老健)施設でのお仕事


辛いことも多いが、人の役に立ち職員も共に楽しめる介護の仕事は誇り

        
性別女性
年齢39歳
勤務場所介護老人保健施設、デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリテーション)
勤務期間24歳(2007年)から15年間
資格福祉用具専門相談員、介護支援専門員
フルタイム年収350万円程度
女性


要介護者、利用者、入居者、患者様個々の生活全般の支援。

食事、排泄、入浴、更衣、外出、服薬、安否確認、受診支援、訪問介護、家事援助、自立援助、個別リハビリ、余暇活動、カルテや記録管理、居住環境の整備、清掃、サービス利用管理、ケアプラン作成、症例研究、社会参加、外部交流などの支援。

食事は買い物や献立作成、調理も含める。

排泄は、排泄動作、環境整備、排泄コントロール、インアウトチェック、指導など含める。

入浴は、洗髪洗体、スキントラブルチェックとケア、創傷部の簡易処置、爪切り、更衣動作の介助、バイタルチェック、衣類の準備、風呂場の準備含める。

行為は、朝晩の着替え、整理整頓、衣類洗濯、体温調節、補修、動作への指導含める。

生活リハビリや余暇活動への支援は、被介護者の生活歴や生活環境、趣味嗜好、既往歴、基礎疾患などの個人情報をベースに、可能な範囲で、意欲や興味を持ち、最大限に個人の能力が発揮出来るよう、準備や支援をしている。

介護の仕事の良い所は、資格がなくてもできることだ。

自治体や法人によっては、無料で実技講習や資格取得に向けたフォローを支援してくれるところも多く、初心者でも体力があれば始めやすい。

なにより人の役に立てる。

レクリエーションや余暇、外出、食事など、職員も楽しんで取り組める仕事が多い。


欠点は給料が安い。拘束時間が長い。生命に関わる事故や急変時の対応を必要とする場面が、結構な頻度である。腰を痛めやすいなど。

生活全般のことをこなしながら、事務仕事もしないと行けないので、利用者様と関わる時間とのバランスの取り方が、要領を掴むまで難しいし、自分も苦労した。

あとは、勤務が終わってから、自分の家の家事をするのが億劫になってしまうと言った体験談も、よく友人から聞いている。

最近は疾患や認知症状も多岐にわたり、なお一層、情報量の増加や、支援内容も個別ケアが求めてられている。

スキルアップの為の勉強をしていかないと、ニーズにあったサービスの提供が難しくなるだろう。





【介護職歴15~20年】介護老人保健(老健)施設でのお仕事


24時間体制の介護をする中でも、ゆっくり会話を楽しめるタイミングが癒し

        
性別男性
年齢50歳
勤務場所介護老人保健施設、病院等の医療機関
勤務期間27歳から23年間(1999~2022年)
資格介護福祉士
 
フルタイム手取りで月収30万ほど
男性


老健では利用者の1日の生活の支援を行います。

勤務時間は早出、日勤、遅出、夜勤の4パターンで、それぞれ出勤時間は早出が7時、日勤が8時半、遅出が10時半、夜勤が16時半からです。

4パターンの業務体系で24時間をスライド式で行い、24時間必ずスタッフがいるようなスタイルで回していきます。

1日の生活の流れは朝5時前後からオムツ交換をして、ベッドから車いすに起こし、ひげを剃ったり髪を整えたり、顔を拭いたりといわゆるモーニングケアを実施。

7時過ぎに朝食が出るので、お茶や内服薬を用意して配膳し食事介助に入ります。

食後は下膳をし、排泄介助です。

朝にオムツ交換をした利用者はこの時間は行わず、トイレへの誘導や排便が数日出ていない人のケアを行います。

必要に応じて座薬を使い、排便を促します。

8時半には日勤者が来るので、申し送りを行い夜勤者はここで勤務終了。

7時から勤務を行っている早出は9時頃より入浴介助を11時まで行います。日勤者は利用者の体調管理を行うのです。

11時半より昼食介助に入り、その後排泄介助を行い安全を確保したのち昼休み。

15時にはおやつの介助を行い、その後レクを行います。

17時過ぎから夕食に準備と食事介助を行い、オムツ交換と排泄介助をして就寝。

私は身体障害者、認知症患者、精神疾患者のケアを経験しました。

どうしても苦労話の方が先立ってしまいますが、やりがいや醍醐味としては、ケアの終了時に「ありがとう」と言われることでしょうか。

高齢者が中心のケアなので、ゆっくりとした時間が取れる時は、スタッフ自身も会話を楽しむことができます。

集落の話や地元のお店の話など、こちらと共通点が持てる話をしているときは楽しいです。

またノルマや成功報酬等がなく年功序列制なので、スタッフ同士の出世競争は薄く少し気楽かもしれません。


苦労する点はスタッフの数が確保ができない点です。

40人前後の利用者をスタッフ平均4人から5人でケアを行います。

国や県で指定しているスタッフ数はクリアしていますが、そもそも設定人数が根本的に少ないので、個別ケアより集団ケアを優先せざるを得ない状況です。

認知症ケアは文字通り、入浴や排泄を認知できないので、拒否される傾向が強くなります。

拒否の強い利用者は無理せずタイミングをずらしますが、健康面や衛生面を考慮すると、入浴介助や排泄介助は外すことができず、説得し納得して頂く際に、根気が必要です。





【介護職歴20~25年】介護老人保健(老健)施設でのお仕事


在宅介護の可能性を模索するなど、利用者の希望に添えるよう奔走した結果かけられる感謝の一言

        
性別男性
年齢48歳
勤務場所介護老人保健施設、病院等の医療機関
勤務期間25歳から24年間(1999~2023年)
資格介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員
 
年収
フルタイム年収150~350万ほど
男性


介護療養型医療施設は要介護度が高くて医療行為を必要とする方が、長期間入所しています。そのような状況でも入所者本人と介護者である家族と何度も話し合う機会を持って、試行錯誤を繰り返しながら折り合いが付くように調整して、在宅介護に移行できた方も少人数ですがいらっしゃいます。

私が勤務する法人では外来診療はもちろん、居宅介護支援事業所・通所リハビリ・訪問看護ステーションなどの在宅サービスの事業も行っているので、これらの在宅サービスの職員と連携や協力をしながら利用者の在宅生活を支援しています。

利用者が退院して家族と一緒に外来診療を受診するために来院したり、通所サービス利用時にお会いした時に掛けられる言葉が何よりの励みです。

「自宅に戻って生活する事ができて良かった。」とか「自宅で介護する事を決めて良かった。」などと声を掛けられた時は感無量です。

入所していた時と違って生き生きとした表情などを見ると、私達は在宅サービス事業の職員と連携や協力をしながら、利用者と介護者の在宅生活を支えているのだと実感した時にやりがいを感じています。

私が勤務する介護療養型医療施設は要介護度が高くて、医療行為を必要とする方が多く入所しているのです。そのような状態でもコミュニケーションが可能で、在宅生活を希望する入所者がいらっしゃいます。

そのような時は家族達を交じえて、本人と在宅生活の可能性を模索します。しかし本人と家族達の長年の関係性から両者の移行が合致しなかったり、両者の移行が合致しても他の要因(住宅環境・家族達の介護力・対応できる在宅サービス事業者が無いなど)によって、模索していた在宅生活の道が閉ざされてしまう場合があります。

本人と家族の両者が折り合いを付けられる方法は無いかと模索しますが、そのまま介護療養型医療施設での入所を継続していくか他の施設(有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅など)に入居していく事が多く、ほとんど在宅生活を実現できた事例がありません。

このような事例に直面する度に支援や調整の大変さに非常に苦労したり、他に良い支援の方法は無かったのだろうかなどと自分自身の無力さを痛感させられてしまうのが、仕事の大変さや苦労話であります。









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