夜の経済が再び躍動し、日本全体に新たな活力をもたらしています。特に、インバウンド観光の再爆発により、日本経済に新たな息吹が吹き込まれています。中国団体旅行の解禁を受けて、訪日観光客の数は増加の一途を辿り、その波は地方まで広がっています。
新宿歌舞伎町の新名所として注目されている「東急歌舞伎町タワー」は、ナイトエンターテインメントの聖地として、夜の街に新たな魅力を加えています。体験重視の新しいインバウンド観光も注目されており、日本の地方を巡る特別なツアーが人気を集めています。
地方インバウンド観光も熱いですね。特に、京都の祇園祭のプレミアム観覧席は大人気で、外国人観光客にとって特別な体験となっています。また、富裕層が選ぶ宿泊施設として、パレスホテル東京やMIMARUが注目を集めています。
一方で、ホテル業界では人手不足の問題が深刻化しています。清掃員難民と中国観光客の復活が期待される中、業界は新たな挑戦に立ち向かっています。訪日観光客に人気の寿司店や日本文化体験も、日本旅行の魅力を高めています。
そして、夜の経済復興には外国人観光客の役割も大きいです。東京パブクロールなどを通じて、彼らは日本のナイトライフを存分に楽しんでいます。ロンドンやニューヨークを見習い、夜の経済がもたらす効果を最大限に活用する取り組みも進んでいます。
新橋花街や浅草など、夜の社交場も再び活気づいています。特に、新橋花街では歴史ある夜の文化が息づき、浅草のCLUB Royalではダンスショーが夜を彩っています。アフターコロナのナイトタイムエコノミーの未来には、さらなる魅力と活力が期待されます。
インバウンド再爆発:中国団体旅行解禁で日本経済に新たな活力
コロナ禍で途絶えていた中国からの団体旅行がついに再開されました。8月10日、中国政府は日本への団体旅行を解禁し、このニュースに触れた外国人向け旅行代理業の男性は、「彼らがついにやってくる」と興奮を隠しきれませんでした。中国からの団体旅行は2020年1月以来3年半ぶりの復活で、早速翌日から「日本への団体旅行を9月頃から始めたい」という連絡が相次いでいます。
コロナ前の2019年には、約959万人の中国人観光客が日本を訪れ、全体の3分の1を占めていました。しかし、コロナ禍でその流れは止まり、今年6月の中国人観光客数は2019年の20%強にとどまっていました。そんな中、団体旅行の解禁がもたらすインパクトは大きく、みずほリサーチ&テクノロジーズの坂中弥生上席主任エコノミストは、中国人観光客数が年間で200万人近く増える可能性があると予測しています。
旅行業者だけでなく、航空会社やホテルなどのインバウンド関連企業も歓迎ムードです。ANAホールディングスの芝田浩二社長は、「訪日に弾みがつき、経済の活性化につながります」とコメントし、早速中国便の増便を検討しています。
中国人観光客の経済波及効果も見逃せません。観光庁の調べでは、中国人観光客の1人当たりの旅行支出は33万8,238円に達し、これは英国に次ぐ高額です。円安も相まって高額消費が続いており、団体旅行客の増加で支出額が若干減少する可能性があっても、訪日中国人が200万人増えればその経済効果は計り知れません。試算では、年間で2,000億円以上の消費増が期待されています。
多くの百貨店も早くから準備を進めています。例えば、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は、阪急本店のアテンド人員を増やし、顧客のニーズに応じた商品提供を強化しています。また、マツキヨココカラ&カンパニーは免税対応店舗をコロナ前の5割増に拡大し、中国人観光客向けの商品のラインナップを充実させています。
歴史的な円安と相まって、訪日観光客が急増している現在、中国の団体旅行客の再来により「インバウンド再爆発」が確実視されています。
本記事では、観光業やホテル、飲食店などインバウンド関連業界の成功事例を紹介し、訪日客を効果的に取り込むためのノウハウを伝授します。併せて、インバウンドとともに日本経済の活性化を担うナイトタイムエコノミーの世界も探ります。それでは、まずインバウンドとナイトタイムの新たな聖地と呼ばれる東急歌舞伎町タワーから見ていきましょう。
新宿歌舞伎町の新名所「東急歌舞伎町タワー」:ナイトエンターテインメントの聖地
新宿歌舞伎町に新たに誕生した「東急歌舞伎町タワー」は、訪日観光客の新たな名所となりそうです。2024年4月13日、夕暮れの西武新宿駅近くのシネシティ広場には、開業前日のセレモニーに集まった1000人以上の人々の熱気が漂っていました。
このタワーは、東急と東急レクリエーションが共同で、かつての映画館「新宿ミラノ座」やサウナの跡地に建設した地上48階、地下5階、高さ225メートルの新たなランドマークです。セレモニーでは、施設内のライブホールや劇場で公演を行うアーティストや俳優が集まり、ブルーカーペットに並ぶ姿が大きな盛り上がりを見せました。
開業翌日の4月17日には、ライブホール「Zepp Shinjuku (TOKYO)」がオープンし、人気バンドSUPER BEAVERをはじめとする豪華アーティストたちがこけら落とし公演を行いました。さらに5月6日からは劇場「THEATER MILANO-Za」での公演が始まり、窪田正孝や石橋静河らが出演する『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』が大成功を収めました。
このタワーは、エンターテインメントに特化したユニークな構造が特徴です。通常の大型ビルとは異なり、アパレルショップやオフィスは一切なく、ホテルとエンタメ施設のみで構成されています。これにより、訪れる人々に新しい体験を提供しています。
開発責任者の木村知郎氏は、「新宿は文化人やアーティストが集まる場所で、そのカルチャーを活かして新たな観光拠点を作りたい」と述べています。彼はこのプロジェクトを「業界初の壮大なチャレンジ」と位置づけ、様々な文化を発信し、歌舞伎町を世界的なエンターテインメントの中心地にすることを目指しています。
タワー内には、ライブホール、劇場、映画館などが揃い、夜遅くまで楽しむことができます。特に注目されるのは、地下1階から4階にあるZeppホールで、都心最大級の規模を誇り、臨場感あふれる音楽体験が可能です。さらに深夜には「ZEROTOKYO」というクラブに変わり、テクノやハウスなど多様な音楽を楽しめます。
他にも、祭りをテーマにした「新宿カブキhall~歌舞伎横丁」や、坂本龍一が監修した音響システムを備えたプレミアム映画館など、訪れる人々を飽きさせません。これらのエンタメ施設とホテルを結ぶダイニングバー「JAM17」は、多様な感性が混じり合う社交場として機能しています。
歌舞伎町タワーは開業からわずか1カ月で来館者数が100万人を突破し、その成功を証明しています。インバウンド比率も80%を超え、中国の団体旅行客の訪問も期待されています。
引き続き、観光業界やホテル業界の成功事例を紹介し、インバウンドとナイトタイムエコノミーの活性化に向けたヒントを提供します。まずは、東急歌舞伎町タワーの魅力を詳しく見ていきましょう。
体験重視の新しいインバウンド観光 – 日本の地方を巡る特別なツアー
インバウンド観光客は、特別な体験を求めて地方に足を運ぶようになっています。例えば、京都を拠点に観光客向けのオーダーメイドツアーを提供する「みたて」の庄司英生氏は、「日本の酒蔵に行きたい」という米国人親子の依頼を受けました。そこで庄司氏は、ただの見学ではなく、一癖ある京都の酒蔵見学ツアーを提案しました。
まず、農家から稲作の話を聞き、その後、酒蔵で醸造の現場を見学します。さらに、日本酒の試飲と昼食を楽しみ、気に入った日本酒を持ち帰るという内容です。このツアーは米国人親子に大変好評で、料金はハイヤー代とガイド代別で5万円です。庄司氏は、「通常の酒蔵見学は無料がほとんどですが、稲作から日本酒ができるまでの過程を学ぶストーリーを提案することで、付加価値の高いツアーになる」と語ります。
2010年代後半の「爆買い」ブームからコロナ禍を経て、訪日観光客の姿は大きく変わりました。コロナ禍で外出が制限されていた間、ネットやSNSを通じて定番ではない観光地や日本文化に関する情報を得ていたため、興味を追求して地方都市にまで足を伸ばすようになったのです。
訪日観光客の旅行スタイルが多様化する中、特に欧米の富裕層を中心に、日本の伝統文化や自然を学ぶ高付加価値ツアーが人気を集めています。富裕層マーケティング会社「ルート・アンド・パートナーズ」の増渕達也社長は、「成熟した訪日客の関心は地方に向かい、現地でしかできない体験を求めている。トレンドはコト消費だ」と述べています。
例えば、増渕氏が手がけた宮大工ツアーでは、木造建築の神社を訪問し、宮大工の解説を聞きながら細部まで行き渡る木造建築の技術を学ぶことができます。
かつての訪日観光客の「ゴールデンルート」は東京から箱根、富士山、名古屋、京都、大阪を巡るコースでしたが、最近のトレンドは変わってきています。訪日観光客向けのカスタムツアーを提供する「Eighty Days」への取材を基に、最近人気のコースを紹介します。
50代の米国人夫婦を想定した2週間のモデルプランでは、まず和歌山の熊野古道でトレッキングを楽しみ、大阪・堺市で金物や盆栽の職人と交流します。さらに、和泉市でガラス細工体験を行い、その後、京都を経て福井へ向かいます。北陸地方は2015年の北陸新幹線開通を機に観光地としての存在感が高まり、職人文化を目当てに訪れる訪日観光客が増えています。越前で和紙手すき体験や鍛冶職人との交流を楽しんだ後、関東に戻って横浜観光を楽しみ、帰国します。2週間の滞在で、1人当たりの予算は250万円程度です。
訪日観光客の特徴は、3つの「R」で表すことができます。1つ目は「Rich」です。観光庁の調査によると、2023年1~3月に日本を訪れた外国人のうち、47.5%が東アジア出身でした。2019年に主役だった中国はトップ10圏外に落ち、2023年は韓国が最多で、台湾や香港のほか、米国やオーストラリアからの観光客の比率も高まっています。観光客の約半数は世帯年収が10万ドル(約1400万円)以上のリッチな層です。
2つ目の「R」は「Repeat」です。訪日客の3分の2が日本に2回以上訪れているリピーターで、地方にも足を延ばし、滞在日数が長期化しています。1回の旅行で1週間以上滞在する訪日客の割合は、2019年の46%から2023年には57%に増加しました。
これらの背景には、2023年4月末から日本への入国制限が撤廃された「Revenge」期間があります。訪日客の消費額は宿泊費が3分の1を占めていますが、買い物代の割合も高く、円安が追い風となって高額消費が旺盛です。中国の団体旅行解禁によって、リベンジ消費はさらに高まるでしょう。
地方インバウンド観光が熱い!京都祇園祭のプレミアム観覧席が大人気
日本政府は地方のインバウンド観光を活性化するため、100億円の予算を投入しています。各地は観光客を呼び込むために様々な工夫を凝らしています。例えば、京都祇園祭の山鉾巡行で初めて導入された「プレミアム観覧席」が注目を集めました。2023年7月17日に行われたこの祭りでは、通常の観覧席が4,100円なのに対し、プレミアム観覧席は40万円という高額設定でした。それにも関わらず、84席中65席が売れ、特に海外の富裕層に人気でした。
プレミアム観覧席は河原町御池交差点に設置され、日よけ付きの椅子とテーブルで快適に観覧できる上、京料理の「おばんざい」や飲み物が提供されました。さらに、英語と中国語のイヤホンガイドも用意され、祭りの詳細な解説を楽しむことができました。当日、山鉾巡行の参加者がプレミアム席に近づき、特別なパフォーマンスを披露したり、厄除けの粽(ちまき)を手渡したりするなど、観光客にとって忘れられない体験となりました。京都市観光協会の堀江卓矢氏は、このような直接の交流が観光客にとって特別な価値を生むと述べています。
日本のインバウンド観光は「量から質へ」の転換を図っており、観光庁は消費額が100万円以上の高付加価値旅行者をターゲットにしています。観光庁は「観光再始動事業」として、非公開の文化財の特別公開や、通常とは異なる利用方法での文化財の活用、立ち入り禁止エリアの公開など、特別なイベントやコンテンツに最大8,000万円の補助金を交付しています。この事業には100億円の予算が計上され、385件が採択されました。冒頭の京都祇園祭プレミアム観覧席もその一環です。
2015年の北陸新幹線開通以降、観光客が増えている北陸地方でも集客に力を入れています。石川県では新幹線開通前から「インバウンドセミナー」を実施し、観光業者の意識改革を図っています。また、輪島塗の工房訪問ツアーなど、高付加価値商品の開発にも注力しています。隣接する富山県では「とやま観光塾」を運営し、有償ガイドや観光DX・インバウンド対応基礎コースなどのカリキュラムを提供し、観光人材の育成を進めています。
京都市観光協会も市の認定ガイドを育成しており、プロの観光ガイドを増やすことで高付加価値の観光スタイルを定着させることを目指しています。有償ガイドが増えれば、自治体の税収増にもつながると期待されています。
観光業の持続的な発展には、高付加価値な観光商品やサービスが不可欠です。そのためには、地域特性に応じた商品やサービスの開発と提供が重要です。そして、それを支える人材の育成や環境整備は、地域の自治体の大きな役割となっています。
富裕層が選ぶパレスホテル東京とMIMARUの魅力を徹底解説
地方を訪れる外国人観光客が増え、ホテル業界には新たな挑戦が求められています。地域の魅力を最大限に引き出すことで、高稼働率を実現しているホテルがいくつかあります。
まず、東京の名門パレスホテルです。総支配人の渡部勝氏が語るエピソードには、ある欧米の男性客がいったんチェックアウトした後、再びパレスホテル東京に戻ってきたというものがあります。彼を魅了したのは、2018年に導入されたバトラーサービスです。このサービスは、富裕層向けに個々の好みや生活スタイルを把握し、滞在が快適になるよう徹底的にサポートします。例えば、部屋に置かれた化粧品の配置まで記録し、次回の滞在時にストレスなく使用できるようにするなど、細部にまでこだわったサービスが提供されています。
パレスホテル東京は、皇居外苑に位置する独立系ホテルで、外国人富裕層に非常に人気があります。2023年3月と4月には、平均客室単価が初めて10万円を突破し、業界関係者の注目を集めました。改装後の2012年にはレストランの座席数を半減し、2022年には90平方メートルのプレミアスイートを新設しました。この結果、富裕層の宿泊客が増え、2023年1月から7月の稼働率は50%を記録しました。また、国内系ホテルで初めてフォーブス・トラベルガイドの5つ星を獲得し、8年連続で維持しています。海外営業とPR活動にも力を入れ、富裕層向けの戦略を展開しています。
一方、コスモスホテルマネジメントが運営する「MIMARU」は、訪日外国人ファミリーに人気のホテルです。同社によれば、宿泊客の9割が外国人で、その半数がアジアからの観光客です。MIMARUは都市部に28ホテルを展開し、宿泊に特化しています。ファミリー層をターゲットにした客室は、ベッドが4つ以上あり、キッチンや大人数で囲めるテーブルも備えています。社長の藤岡英樹氏は、ビジネスホテルがツインルームばかりでファミリー向けの宿泊施設が少ない現状を見て、このホテルのコンセプトを立ち上げました。結果として、台湾人などを中心に高評価を得ています。2023年度の稼働率は74.6%、平均客室単価は3万4000円を見込んでいます。
パレスホテル東京とMIMARUの成功の要因は、ターゲットを明確に絞り込み、それに特化したサービスを提供している点にあります。多くのホテルは幅広い客層を対象としがちですが、パレスホテル東京とMIMARUは、独自の魅力を打ち出し、高い稼働率と満足度を実現しています。訪日外国人が増える中で、彼らの成功例は他のホテルにとっても参考になるでしょう。
京都、南魚沼、高野山のラグジュアリーな地方滞在:外国人に人気の地方宿泊施設3選
地方へのインバウンド観光客が増加する中、ホテルの可能性は無限大です。外国人観光客は東京や京都、大阪といったゴールデンルートに加え、伝統文化や名産品、自分だけの特別な体験を求めて地方の小都市にも足を延ばしています。リピーターが増える中で、各地の宿泊施設も新たな取り組みが求められています。今回は、地域や施設の強みを生かしたサービスで宿泊客を引きつける三つのホテルの挑戦をご紹介します。
まずは、新潟県南魚沼市の「ryugon」です。この地域は冬場に3メートルもの雪が積もる豪雪地帯で、ryugonでは雪国ならではの暮らしや文化を体験してもらうことをコンセプトにしています。運営会社「いせん」の井口智裕社長は、地域の知恵と文化を観光資源として活用し、雪国観光圏を推進しています。ryugonでは、土間で地元の人と一緒に郷土料理を作る「土間クッキング」や、囲炉裏での煎餅焼き体験が人気です。将来的には、国内、アジア、欧米からの宿泊客が3割ずつになることを目指しています。
次に、京都の「京町家 楽遊 堀川五条」をご紹介します。京都駅と二条城の間に位置するこの旅館は、京町家の伝統的な造りを再現しています。外国人観光客にとって、畳の上で布団を敷くことや、旅館正面の銭湯での入浴体験などが日本の日常を感じる貴重な体験となっています。布団の敷き方や銭湯の使い方は、イラスト付きのカードで説明されており、必要に応じてスタッフがサポートしています。楽遊の山田静マネジャーは、「不便さ」も楽しさの一部として外国人観光客に受け入れられていると語ります。
最後に、和歌山県高野町の「高野山 恵光院」です。真言密教の聖地である高野山では、寺院に併設された宿坊が人気です。恵光院では、プライベートな半露天風呂と庭園を備えたスイートルームがあり、ハイシーズンには一人10万円にもなることがあります。また、仏教の瞑想法や護摩修行、夜間の奥之院ナイトツアーなど、多彩なアクティビティも提供されています。スイートルームの増設を計画しており、体験の質を向上させ、リピーターの獲得を目指しています。
地方の宿泊施設が提供する高付加価値な体験は、インバウンド観光客にとって魅力的な選択肢となっています。地域の特性を生かしたサービスや人材育成が、観光業の持続的な発展に繋がるでしょう。
ホテル業界の人手不足:清掃員難民と中国観光客の復活に挑む
中国人観光客の急増とホテルの開業ラッシュによる業界の状況について懸念されています。
ある清掃会社の関係者によれば、ホテル業界では清掃員の不足が深刻で、チェックインの時間に清掃が間に合わない状況が続いています。この不足は、コロナ禍による客室稼働率の低下や、他の業界への清掃員の流出が原因です。そのため、ホテル側は清掃会社との価格交渉に応じない「塩対応」を取っています。
一方で、中国からの団体旅行解禁が追い打ちをかけそうです。これにより、清掃時間がかかる中国人観光客向けの部屋が増え、人手不足がより顕著になるでしょう。
しかし、この問題に対する解決策も出始めています。例えば、米フォートレス・インベストメント・グループ系ファンドが保有するマイステイズ・ホテル・マネジメントは、外国人技能実習生を対象にホテルの従業員を育成しています。さらに、ホテル椿山荘東京や東急ホテルズ&リゾーツなどが若手社員を対象にした人材育成のコンソーシアムを発足させ、離職防止に取り組んでいます。
ホテル業界では、訪日観光客の増加に伴って多くの外資系高級ホテルが新規出店を予定していますが、人材不足の解消が急務です。少人数で運営できるビジネスモデルの見直しや、外国人労働者の活用など、新たなアプローチが求められています。
訪日観光客に人気の寿司店・松乃鮨が提供する日本文化体験の魅力
訪日観光客に人気の飲食店には、特別な魅力があります。その秘密を探ってみましょう。
大森海岸の老舗寿司店「松乃鮨」では、訪日観光客がシャリ切りから魚の捌き方まで学び、自分で寿司を握る体験ができます。この店の人気の理由は、日本文化を深く体験できる点にあります。100年以上の歴史を持つこの寿司店は、京浜急行電鉄・大森海岸駅の近くに位置し、連日多くの観光客が訪れています。特に注目されるのは、朝早く魚市場に行き、競りを見学し、自ら選んだ魚をさばき、その寿司を食べるというユニークな体験です。
この体験を提供するきっかけは、4代目の手塚良則氏の経歴にあります。大学時代から留学生をもてなし、旅行会社での勤務経験も持つ手塚氏は、英語も流暢に話します。彼の目標は、訪日観光客に寿司だけでなく、日本の食文化全体を理解してもらうことです。魚の釣り方から始まり、旅程での料理や味噌、器に至るまで詳しく説明します。また、ベジタリアンやハラル、グルテンフリーなど、多様なニーズにも対応し、顧客に寄り添う姿勢を大切にしています。
次に紹介するのは、東京・西麻布にある懐石料理店「伊勢 すえよし」です。この店では、訪日観光客がカウンターで手にする英語の冊子が好評です。三重の食材にこだわり、和食ながらヴィーガンやベジタリアンにも対応しています。2020年にはトリップアドバイザーで日本1位に選ばれたこともあり、外国人に人気です。この冊子は、懐石料理や使用する食材、生産地の三重や生産者について詳細に説明しており、訪日観光客に和食の魅力を伝えています。
店主の田中佑樹氏は、海外で懐石料理の知名度が低いことを悔しく思い、もっと魅力を伝えたいと感じたことが冊子作成のきっかけだと言います。田中氏は、顧客とのコミュニケーションを大切にし、訪日観光客が安心して食事を楽しめるよう、詳しい説明を行っています。来店後も感謝のメッセージを送るなど、アフターケアにも心を配っています。
最後に紹介するのは、京都・嵐山の「五木茶屋」です。こちらは、SNSやグーグルマップを積極的に活用して人気を集めています。嵐山本店をリニューアルした際に、SNS運用を強化し、若者を中心に集客に成功しました。旬の食材を使用した色とりどりの和食は、特にSNS映えするとして評判です。
SNS戦略を担当するカンコウタイシの三浦大貴氏は、「嵐山のマーケティングは遅れている」と指摘し、五木茶屋を目的に嵐山に来る人を増やすことを目指しました。その結果、若者に人気の店となり、食べログのアクセスランキングでも1位に輝きました。今後は、さらに訪日観光客を取り込むため、海外向けのSNSや予約システムを整え、中国からの団体旅行客などを迎え入れる準備を進めています。
このように、訪日観光客の取り込みにはSNSやグーグルマップの活用が欠かせません。特にグーグルマップは多言語対応が可能で、検索から予約までをスムーズに行える利便性が評価されています。口コミへの返信も重要で、これにより店舗の信頼性を高め、集客力を向上させることができます。
訪日観光客が増加する今、これらの飲食店の成功例は他の店舗にとっても参考になるでしょう。
日本旅行を巡る闇!富裕層を狙う企業の巧妙な罠とは?
訪日観光客の需要につけこむ企業の手法が、背筋を凍らせるほどのものである。
「これでは儲けが足りない!」社長の厳しい一言に、部下は胸を締めつけられた。価格を引き上げろとの圧力に屈し、社員は罪悪感を抱きつつも、高額な見積もりを提出することを強いられた。この一幕は、中東の富裕層からの旅行要請に対応する企業のリアルな光景だ。
富裕層というターゲットを狙い撃ちにし、価格をふっかける手法は、現在の円安状況を背景にしている。しかし、このやり方が一般的なビジネスマナーとは程遠いことは、業界関係者の間で指摘されている。
富士山のふもとでも、同様のトラブルが発生している。以前は中国からの観光客でにぎわっていたエリアでは、高級ブランド品の偽物が大量に売られていた。これらの店は現在、姿を消してしまったが、再び中国からの観光客が増えれば同様の問題が再発する可能性がある。
インバウンドの再燃は、日本経済にとって大きな意味を持つ。しかし、その一方で、訪日客の信頼を損なうような事業者が台頭してしまうと、業界全体に深刻な影響を及ぼしかねない。
夜の経済復活!東京パブクロールで外国人観光客が日本のナイトライフを満喫
新型コロナウイルス感染症の影響で沈静化した夜の経済が、再び息を吹き返しています。
夕方の気温が下がらず、汗ばむような熱い日に、東京・六本木の小さなバーでは外国人旅行者たちが集まり、パーティーが始まります。これは「東京パブクロール」という毎週金曜日と土曜日に開催されるイベントで、参加者はバーを巡った後、クラブで踊って解散します。
このパーティーは、外国人と日本人が気軽に国際交流できる場を提供するために生まれました。訪日観光客の増加により、参加者の8割以上を占めるほどの盛況ぶりです。
さて、夜の街が壊滅的なダメージを受けた一方で、新型コロナの沈静化に伴い、夜の街は息を吹き返しています。外国人観光客に加え、銀座のビジネスマンたちも再び接待や社交活動を再開し、夜の社交場が賑わいを見せています。
また、観光地も新たな取り組みを進めています。例えば、東京・新宿の新宿御苑では、夜桜を楽しむために開園時間を延長し、多くの観光客が訪れています。また、愛媛県大洲市の大洲城では、一日城主として宿泊するプランが好評で、多くの人がその体験を楽しんでいます。
夜の経済は、日本経済の活性化にもつながる重要な要素です。これからのページでは、知られざる夜の世界をさらに探っていきます。
ロンドンやニューヨークに学ぶ:ナイトライフがもたらす経済効果
夜の街の活気が再び復活しています。ニューヨークのマンハッタンやロンドンでは、ナイトタイムエコノミーが大きな経済的な効果をもたらしています。新型コロナの影響で一時は閑散とした街も、最近では夜遅くまで活気に満ちています。しかし、日本ではまだまだ夜の街の魅力が足りず、訪日外国人からは閉店が早すぎるといった声も上がっています。
そこで、2019年に観光庁が発表した「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」が注目されています。このナレッジ集では、夜の活動を通じて経済効果を高める方法が解説されています。夜の街は飲食や交通などさまざまな産業に波及効果をもたらし、新たな時間市場を開拓することで事業者にも大きなメリットがあります。
ロンドンはナイトタイムエコノミーの先進国として知られています。ここでは、パブやバー、演劇、イベントなどの多様なコンテンツだけでなく、関連する事業の整備も進んでいます。夜の外出の利便性を高めるため、地下鉄の24時間運行やセキュリティーの確保など、様々な取り組みが行われています。この努力の結果、ナイトタイムエコノミーは莫大な経済効果をもたらし、雇用をも創出しています。日本においても、アフターコロナの時代には夜の街の活性化が重要な課題となっています。
輝く夜の社交場:新橋花街が再び息づく!
政財界の要人が利用する花柳界が、コロナ後に再び活気づいています。新橋花街は、日本一の社交場として知られ、夜になると財界人や富裕層が集う場所です。この花街は、芸妓を呼んで遊ぶことができる場所であり、東京を代表する花街の一つです。
新橋の花街は、1857年に誕生し、江戸時代から続く歴史があります。代表的な料亭の一つが金田中であり、ここでは贅沢な料理と芸者の舞が楽しめます。料亭では、日本舞踊や三味線の演奏などが行われ、座敷全体に歴史の面影を感じることができます。
新型コロナウイルスの影響で花街も打撃を受けましたが、徐々に回復しています。2022年10月ごろからは宴会が再開され、花街の活気が戻ってきました。一方で、新しい顧客の獲得が課題となっていますが、金田中では特定のクレジットカードのホルダー限定で新規の顧客を受け入れるなど、新たな取り組みも行われています。
一般の人々にとっては敷居が高い花柳界ですが、年に一度行われる「をどり」などのイベントでは、芸者の踊りや料亭の料理を楽しむことができます。このようなイベントに参加してみて、花柳界の世界を体験してみるのも良いでしょう。
浅草の夜を彩る魅力!ダンスショーで盛り上がるCLUB Royal
ショークラブで楽しむことができるダンスショーは、実に本格的なものです。
大音量の音楽が流れ、まばゆいライトがステージを照らしていました。緞帳が上がりダンサーたちが姿を現すと、ペンライトを手にした観客たちの歓声が上がります。そして、20分間、6人のダンサーたちが、昔のアイドルを彷彿とさせるダンスから、セクシーなダンスに至るまで、さまざまなパフォーマンスを繰り広げると、店内の熱気はピークに達していました。
そんなステージを見ることができるのは、東京・浅草にある「CLUB Royal」です。普段は60~70人程度の客が入る大箱のキャバクラとして運営されていますが、2日に1回程度、午後9時と11時の1日2度、ダンスショーを楽しむことができます。
ダンサーは普段は客席でお客をもてなしているホステスたち。その中から売り上げ成績のよい順にステージに上がることができ、しかもセンターを務められるのです。また、アイドルグループ「AKB48」の劇場は、この店舗の出身者が設立に携わり、ビジネスモデルを踏襲しているという興味深い背景もあります。
店舗を運営しているプラザ・エンタープライズの平間速夫会長によれば、「今の若い子たちは夢中になるものに飢えている。そのため、ショーに感動してダンサーを志願する女性は多く、移籍が頻繁なキャバクラの世界でも高い定着率を誇っている」とのことです。
2次会や接待で利用する客層も変化しており、昔は女性を口説きたいという思いで来店しているお客さんがほとんどだったそうですが、最近はすばらしいショーを見たい、応援したいという健全なお客さんが増えてきています。コロナ禍では来店客にマスク着用を義務づけ、座る席も間隔を空けるなどの対策を講じていますが、今では8割を超える水準まで回復しており、週末の金曜ともなると満席で、立ち見客まで出るほどの盛況ぶりです。
米国のブロードウェーとまではいかないものの、しっかりとレッスンしたショーは見もの。コロナ後の新たな楽しみとして、一度体験してみてはいかがでしょうか。
夜の経済再興:アフターコロナのナイトタイムエコノミーの未来を探る
新型コロナウイルス感染症の沈静化により、夜の経済が復活しつつあります。ナイトタイムエコノミーの将来について、弁護士でナイトタイムエコノミー推進協議会の代表理事を務める齋藤貴弘氏にインタビューしました。ナイトタイムの回復が始まりつつあります。
これまでのナイトタイムエコノミーのあり方を見直し、新たな「夜」をどのように構築するべきかについて議論しています。コロナ禍での行動様式の変化がナイトタイムエコノミーに大きな影響を与えました。ナイトタイムの魅力を再考し、新たな価値を提供する必要があります。今求められているのは、安全で楽しい空間で、付加価値のある体験を提供することです。地方の観光資源を夜間に活用する取り組みが重要です。
まとめ
日本のナイトタイムエコノミーが再び躍動し、夜の経済に新たな息吹が吹き込まれています。インバウンド観光の再爆発により、特に中国団体旅行の解禁は日本経済に大きな活力をもたらしています。
新宿歌舞伎町の新名所である「東急歌舞伎町タワー」は、ナイトエンターテインメントの聖地として注目を集めています。さらに、体験重視の新しいインバウンド観光や地方インバウンド観光が熱いですね。特に、京都祇園祭のプレミアム観覧席は外国人観光客にとって特別な体験となっています。
富裕層が選ぶ宿泊施設や訪日観光客に人気の寿司店など、日本の観光業界は多様な魅力を持ち合わせています。一方で、ホテル業界の人手不足や訪日旅行を巡る闇といった課題にも直面しています。
しかし、夜の経済が復活し、東京パブクロールなどの取り組みで外国人観光客が日本のナイトライフを満喫しています。そして、新橋花街や浅草のダンスショーなど、夜の社交場も再び活気づいています。
アフターコロナのナイトタイムエコノミーの未来は、さらなる魅力と活力を持っていることでしょう。夜の経済が再興し、日本全体が活気づく未来に期待が高まります。
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