介護現場におけるICT改革!先端技術とITで効率化する介護のお仕事!介護職を救う救世主

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日本の高齢化社会において、介護を必要とする高齢者の数が増加しており、これが介護施設の需要増加につながる大きな課題となっています。2025年には第一次ベビーブーム世代が後期高齢者となり、介護の必要性が増すと予想されています。しかし、介護施設の人員不足やサービス提供の限界により、「介護難民」と呼ばれる人々が増加すると予測されています。

この介護難民の増加の背景には、介護施設の人員不足が挙げられます。政府は介護職の給与引き上げなどの対策を講じていますが、労働人口の減少により、この問題の解決は容易ではありません。

こうした状況に対応するため、ICT技術の導入が進んでいます。ICT技術は介護職の負担軽減や業務効率化に役立っています。例えば、高齢者の健康状態や安全を遠隔で確認する「見守りシステム」や、介護ロボットの活用などが挙げられます。

また、介護業界における事務作業のデジタル化も進んでいます。これにより、介護職員の業務負担が軽減され、業務効率化が図られます。時間外労働の削減や従業員の満足度向上にもつながるICT技術の活用は、介護業界における重要な取り組みの一つです。

ICT技術の導入により、介護業界の効率化やサービスの向上が期待されます。介護難民の増加や人員不足という課題に対して、ICT技術を活用し、介護サービスの質の向上に努めることが重要です。



コンテンツ

グローリーの顔認証技術:医療・介護分野への展開


貨幣処理機のリーディングカンパニーであるグローリーが、貨幣識別技術を応用した顔認証技術を活かし、医療・介護のニッチ分野に進出しています。手術前の患者の本人確認や認知症患者の見守りシステムなど、新たな事業展開に着手しています。この技術は大手企業も取り組む中、競合が少ない領域で顧客を獲得し、キャッシュレス化の動きにも対応しています。

グローリーは2019年夏から、兵庫県姫路市の三栄会ツカザキ病院と協力し、顔認証を用いた眼科手術前の患者の本人確認の実証実験を開始しました。このシステムでは、タブレット端末で患者の顔を撮影し、事前に登録された写真と照合することで、本人確認を行います。顔認証技術は、顔の100カ所の特徴を捉え、一部が隠れたり変化しても確認可能であるとされています。

また、グローリーは大阪市立大学医学部発のスタートアップ企業であるエコナビスタと提携し、高齢者や認知症患者を見守るシステムの開発にも着手しています。このシステムは室内センサーを使用し、入居者の姿勢から転倒や急病を検知するものです。グローリーの亀山博史上席執行役員は、「認知症患者の増加や遠隔診療の拡大により、医療・介護現場での顔認証の需要はますます増えると考えています」と述べています。

グローリーは通貨処理機で国内シェアトップを誇り、コンビニエンスストアや金融機関向けに釣り銭機や出入金機などを提供しています。しかし、「医療現場での本人確認はニッチな分野ですが、潜在的な市場は大きい」として、事業基盤を拡大する方針を示しています。



エヌ・デーソフトウェア:介護ソフト開発における大手向け増員計画


2020年、エヌ・デーソフトウェアが介護ソフトの大手向けシステム開発を強化することを決定しました。これにより、2~3年以内にIT技術者を1.5倍に増やし、山形県内に加えて東京にも開発拠点を新設します。首都圏の人材が東京で働けるようにすることで、首都圏の人材も活用します。南陽市が開発の中心となり、給与水準が高いため山形大学などの新卒者も採用しやすい状況です。

さらに、開発委託を受ける協力企業も増やし、大手企業向けのシステム開発にも注力します。大手企業は独自のシステムを求めるため、パッケージソフトとは異なるアプローチが求められます。これにより、現在の国内シェアを倍増させる計画です。

鳴坂仁志社長は大手IT企業での経験を活かし、介護分野の課題に取り組むことを強調しています。介護は頻繁な法改正などがあり、手間がかかる部分も多いですが、エヌ・デーソフトウェアが開発要員を増やすことで、シェアを拡大する機会を見出しています。



高齢者の介護に革新をもたらす中国テック企業:伴我科技


中国では高齢者の介護ニーズが高まっており、伴我科技はこの課題に取り組むべく、専用スマートフォンとオンラインサービスを組み合わせた「伴我1+1」を開発しました。この製品は、高齢者が使いやすいように設計され、3つの主要な特徴を備えています。

まず、伴我1+1は高齢者向けのカスタマイズされたオペレーティングシステムとネットワークサービスを提供し、使いやすさを追求しています。次に、専用スマートフォンの台座は、血糖測定器や血圧計などのデバイスと接続できるだけでなく、緊急呼び出し機器や人感センサーなどのスマートホーム機器とも連携できます。そして最後に、高齢者向けのネットワークサービスを通じて、特殊な権限や緊急呼び出し機能を利用することができます。

これにより、高齢者は安心して生活できるだけでなく、家族や介護施設のスタッフとも連絡を取り合うことができます。伴我科技は、高齢者向けスマートデバイスのレベル向上と価格の低減を目指し、医療機関や介護施設などを顧客として想定しています。

同社は数多くの特許や知的財産権を取得し、製品の開発に取り組んでいます。そして、2021年には第一弾の製品を発売する予定で、さらなる成長を目指しています。中国の高齢者人口の増加に伴い、伴我科技のビジネスも拡大していくことが期待されます。



野の花会:ロボットで介護職の負担軽減、進化する医療介護の最前線


鹿児島県南さつま市に拠点を置く野の花会は、特別養護老人ホームや居宅介護などを運営し、最新の介護テクノロジーを積極的に活用しています。その目的は、介助される方々と介助するスタッフの両方にとって負担の少ない介護を実現することです。

創設者である洋画家の吉井淳二氏の理念に基づき、野の花会は福祉文化の創造を目指し、先進的な取り組みを進めてきました。2013年からは様々な介護機器の活用に積極的に取り組み、職員の負担を軽減する取り組みを行ってきました。

しかし、介護現場では依然として持ち上げる場面が残っており、2015年には介護支援用ロボットの導入も試みられましたが、職員の間での活用は進まずでした。その後、リーダーを対象とした研修会や、コミュニケーションロボットの導入など、技術の浸透を図りました。

さらに、2020年には予測型見守りシステムやアバターロボットの試験導入など、最新技術へのアンテナを常に張り巡らせています。そして、職員同士が意見を出し合い、技術のノウハウを蓄積する中で、次の一手として負担軽減に向けた技術開発にも取り組んでいます。野の花会は、すごしやすく、働きやすい施設づくりに向けた取り組みを緩めることはありません。



デジタル化で介護サービスを向上!全世代型社保会議が提言


政府は2020年2月19日、首相官邸で全世代型社会保障検討会議を開催し、介護サービスの生産性向上について議論しました。人手不足に対処するため、介助や文書作成などでデジタル化を推進する方針です。安倍晋三首相は「制度の持続可能性を確保して基盤の整備、人材の確保などを進めていく」と述べ、夏の最終報告に向け検討を指示しました。首相はまた、「見守りセンサーなどのテクノロジーを活用し、介護サービスの質を維持しながら需要の伸びに対応する」と述べました。業務の効率化に向け、「行政に提出する文書の簡素化を進め、自治体ごとに異なる文書の様式について国が標準的な様式を示す」とも表明されました。



介護業界に挑むNDソフト:東京新拠点を設立し、IT技術者増員でシェア拡大を目指す


2020年、エヌ・デーソフトウェア(NDソフト)は、介護業界向けのシステム開発を強化し、IT技術者を増員する計画を進めています。これにより、中小企業向けのパッケージソフトだけでなく、介護大手向けの事業にも注力し、収益基盤を強化することを目指しています。

2020年時点で、IT技術者は南陽市と山形市に配置されていますが、人手不足が深刻なため、新たに東京・田町に開発拠点を設立しました。この新拠点では、首都圏の人材が働きやすい環境を整えることで、技術者の増員を図ります。今後2~3年で、山形の2拠点と東京の新拠点を合わせて、現在の1.5倍にあたる180人体制にする予定です。

しかし、開発の中心地は南陽市に据えられます。給与水準が高く、新卒者を採用しやすい環境であるため、地元の人材を積極的に取り込む計画です。また、仙台からの通勤も可能なため、首都圏からのUターン者も見込まれます。

同時に、IT技術者の増員と並行して、開発を委託する協力企業も増やし、大手企業向けのシステム開発を拡大していきます。大手企業向けには独自のシステムを提供するため、これによって介護ソフトの国内シェアを倍増させる方針です。

鳴坂仁志社長は、大手IT企業での経験を持ち、介護分野の特性についても十分理解しています。彼は、「IT大手が介護から撤退する動きもある中、開発要員を増やせばシェア拡大は可能だ」と述べています。

NDソフトは地方では珍しい上場IT企業でしたが、2019年に経営陣が参加する買収(MBO)により上場を廃止しました。この際、創業者の佐藤広志会長は「プロ経営者」として鳴坂氏を招き、社長を交代しました。設立からの歴史があり、今期は売上高が過去最高の見込みです。



あなぶきヘルスケア、介護施設の働き方を「見える化」


高松市に拠点を置くあなぶきヘルスケアは、2020年、医療・介護関連事業を展開するあなぶきグループの一翼を担い、医療・介護施設の働き方を「見える化」する取り組みを始めました。同社は自社が運営する医療・介護施設の検索サイトを通じて、有給休暇の消化率などのデータをグラフ化し、さらに施設の働き方に関する情報を提供しています。この取り組みは、人手不足で情報提供が求められる施設側のニーズに応えるものです。

2019年12月に行われた大規模なリニューアルでは、医療・介護施設の検索サイト「病院・介護ナビmilmil」に求人版のページが追加されました。これは香川、岡山、高知の3県で、住民が地域の医療・介護施設を見つけるのに利用される無料の検索サイトですが、求職者にも注目されるようになっています。

求人版のページでは、雇用形態や勤務時間などの募集要項が主に記載されていますが、求職者の視点からは有給休暇の消化率や残業時間などの情報も求められます。

そこで、第1弾としてあなぶきヘルスケアが運営する介護付きの住宅型有料老人ホーム「アルファリビング高松紺屋町」の労働環境に関するデータが掲載されました。例えば、16年度の実績によれば、月間の残業時間が5時間未満の割合が71%となっています。

さらに、在職中に出産した女性の介護スタッフによるインタビューも掲載されており、これをモデルとして他の医療・介護施設にも情報を提供する予定です。情報収集と執筆には時間がかかるため、月に1~2施設のペースで充実した情報が提供されます。

2019年には1か月あたり10万~15万回の閲覧数を誇っていた検索サイトですが、求職情報の充実により、2020年中には月に20万回の閲覧を目指しています。



埼玉県、介護ロボットの未来を探るフォーラム


2020年、埼玉県では、介護ロボットの可能性を探るフォーラムが埼玉県県民健康センターで開催されました。介護事業者を中心に210人が参加し、補助金などの導入支援策が紹介されたり、実際に導入された特別養護老人ホームなどでの成果が報告されたりしました。さらに、23社のメーカーなどが参加した展示会も開催され、最新の技術や製品が披露されました。

埼玉県は2019年度から、介護ロボットの導入を推進する「介護ロボットモデル事業」を展開しています。このフォーラムでは、モデル施設として選ばれた4つの施設が導入の成果を報告しました。導入による効果や課題について共有することで、他の事業者にとっても活用のヒントを得ることが期待されています。



ジョリーグッド、ミャンマーで介護研修にVR導入


2020年、東京・中央に拠点を構えるジョリーグッドは、最新技術の仮想現実(VR)を活用して、ミャンマーにおける介護人材の教育を支援する取り組みを始動しました。このプログラムでは、臨場感あふれるVR映像を活用し、高齢者との接し方など、介護に必要なスキルを効率的に学び取ることができます。これは、ジョリーグッドが海外展開を果たす初の試みです。

ジョリーグッドはこれまで、企業や教育分野向けのVRコンテンツを開発してきました。今回は、日本国内で提供している介護用VRコンテンツを改良し、ミャンマーの人材育成機関であるミャンマー・ユニティに提供しました。

受講生は、介護現場で必要なスキルを集中的に学びます。心肺停止や転倒による出血などの緊急事態を仮想体験し、実際の現場での対応に備えます。

VRを活用することで、通常の授業では難しい体験が可能になります。例えば、施設にいる認知症の患者が「家に帰りたい」と訴える場面をシミュレートし、介護士が実際の状況にどう対応するかを体験することができます。これにより、介護サービスを受ける相手の視点で考える訓練が可能です。

ミャンマー・ユニティの北中彰最高顧問は、VR導入の背景について、「教育の質の確保が課題となっていた」と述べています。また、ジョリーグッドの上路健介最高経営責任者(CEO)は、「VRは理解度のばらつきを減らせる効果もある」と語っています。

このプログラムの導入費用は、ゴーグル10台を含むセットで62万円であり、月額利用料は別途15万円かかります。今後は、ベトナムや中国など、人材の送り出し先が多い国々での展開を目指す予定です。



パナソニック、介護をITで進化させる:リハビリ動画自動記録システムと生活リズム改善の取り組み


2020年、パナソニックは、介護サービスの向上にITを駆使して取り組んでいます。パナソニックエイジフリーは、介護用品やリハビリシステムの開発に注力し、高齢者の生活リズムを整えるための実証試験も行っています。これまで事業規模の拡大を重視してきましたが、今後は高齢者の生活の質を向上させる手法の確立に焦点を当てています。

パナソニックエイジフリーは、介護事業者向けにリハビリ作業を支援するクラウドシステムの開発を進めています。このシステムは、リハビリの内容や記録を自動化し、担当者の負担を軽減します。さらに、顔認証と骨格の動きを活用して、リハビリの実施記録を効果的に管理する方針です。

また、パナソニックは照明システムを活用して高齢者の生活リズムを改善する取り組みも行っています。昼夜で照明の明るさや色合いを自動調整し、高齢者の睡眠時間を増やす効果があることが実証されています。

さらに、パナソニックは国立循環器病研究センターと協力し、認知機能低下の早期発見に取り組んでいます。高齢者向け住宅にセンサーを取り付け、行動データを収集し、認知機能の変化と行動の関連を調査する計画です。

これらの取り組みは、パナソニックの介護事業が、製品やサービスの開発において現場の意見を取り入れ、他社との差別化を図る一環として展開されています。



ソニーの介護革命:情報技術で業務効率化とケアの向上


2020年、ソニーは介護現場での業務効率化とケアの向上に向け、積極的な取り組みを行っています。同社の介護付き老人ホームでは、ITシステムを活用し、ナースコールやインカムなどが連携しています。これにより、職員1人が担当する入居者数が減り、個別のケアプランを作成する時間が確保されています。この取り組みは、入居者と職員の両方の満足度向上を図り、持続可能な介護事業を目指しています。

例えば、ソニー・ライフケアが運営する介護付き有料老人ホーム「ソナーレ」では、95歳の男性のケースがあります。妻を亡くした後、彼は落ち込んでいましたが、職員が彼の希望を聞き、ビジネスの世界に戻ることをサポートしました。そこで、彼が楽しみながらオーダースーツを仕立てるプランを立て、往年の雰囲気が戻りました。

介護施設では、入居者の身体的なケアだけでなく、精神的なケアも重要視されています。そのため、ソニー・ライフケアでは「ライフ・フォーカス」という施策を導入し、入居者一人ひとりの希望を聞き取り、彼らが生き生きと過ごせる「ライフプラン」を立案しています。

しかしながら、このような手厚いケアには十分な人手が必要です。介護業界は人材不足が深刻であり、労働時間の増加や人手不足の懸念があります。そのため、ソニーは親会社の技術を活用し、ITシステムによる業務効率化を図っています。

具体的には、ナースコールが鳴ると、職員が装着しているインカムに通知されるシステムや、ベッドの上にセンサーを設置して入居者の状態をモニタリングするシステムが導入されています。さらに、AIを活用した予測システムの導入も検討されています。

この取り組みにより、職員1人当たりが受け持つ入居者数は介護保険法で規定されている3人よりも少なくなりました。また、ライフプランの作成に専念するために、職員1人当たり毎月2日間の時間が確保されました。

ソニー・ライフケアは、「ソナーレ」や「はなことば」などの施設を運営し、新規開業も積極的に行っています。これらの取り組みを通じて、高齢者と従業員が笑顔になる良い循環を生み出しています。



カナミックネットワーク:介護現場の革新


カナミックネットワークは、介護業界に革新をもたらすソフトウェアを提供しています。医師やケアマネジャー、ヘルパーなどが要介護者の情報を共有し、業務を効率化できるシステムを開発しています。このソフトウェアは、介護記録や保険請求などの業務に特化しており、クラウドサービスとして提供されています。介護記録の確認や入力はスマートフォンやタブレットから簡単に行え、訪問先でも便利に活用できます。

高齢化社会の進展に伴い、在宅での治療や介護がますます重要になっています。そのため、カナミックのサービスは需要が急速に拡大しています。個々の介護施設だけでなく、地域全体での導入も進んでおり、利用地域は2019年9月末時点で、817箇所に及びます。この動向からも、カナミックネットワークの存在感がますます強まっていることがうかがえます。



モフがリハビリテーションサービスの革新を目指す


2020年、リハビリテーションサービスのモフが、運動データを蓄積する腕時計型端末の導入拡大に取り組んでいます。これまでの7倍にあたる3000施設に展開を予定しており、そのために7億円の調達に成功しました。モフバンドと呼ばれるこの端末は、腕や足に装着して運動すると、その種類や回数を自動で記録し、タブレットに表示するIoT(モノのインターネット)端末の一つです。

今後は、SOMPOやトヨタ自動車と協力してリハビリテーションメニューを開発し、介護施設などでの採用を推進する予定です。特に、トヨタは下半身まひ患者向けのリハビリ支援ロボットを提供しており、モフの高萩昭範社長は、「患者の回復状況に応じた効果的なリハビリ方法を共同研究する」と述べています。

これまでモフは、介護施設に端末を販売してきましたが、今後は病院でも活用されるサービスを提供することを目指しています。



子年の起業家たち――デジタルネイティブが切り拓く福祉の未来


2020年は十二支の最初の年である子年。この年に注目すると、多くの起業家が1984年生まれの「84世代」に集中していることが明らかになった。彼らはデジタルネイティブとして成長し、現代社会におけるデジタル技術の進化を牽引してきた。

ウェルモの最高経営責任者(CEO)である鹿野佑介氏も、この84世代の一人である。彼の起業の原点は、1995年に米マイクロソフトの「ウィンドウズ95」を入手したことにある。小学生だった彼は、当時の学校の授業に不満を感じながらも、ウィンドウズ95を通じて自らの才能を開花させていった。

高校生になるとプログラミングに興味を持ち、インターネット上での活動を開始した鹿野氏は、広告費で数十万円を稼ぐほどの実力を示しました。そして、大学では金融教育サークルを設立し、若者たちに金融の知識を教えるなど、多岐にわたる活動を展開しました。

しかし、大学3年生の時にリーマン・ショックが発生し、金融業界の限界を感じた鹿野氏は、ソフトウェア開発の道を選択しました。家族の経営者たちの影響もあり、当初は起業の意思はなかったものの、介護業界での実績を積む中で、起業への決意を固めていきました。

ウェルモの創業後、鹿野氏は介護事業所を訪れるなどして現場のニーズを把握し、介護現場向けのソフトウェア開発に取り組みました。その後も、発達障害を持つ子供のための教育施設を立ち上げるなど、社会的な課題に挑戦し続けています。彼の挑戦は、ウィンドウズ95から始まり、今もなお続いています。



家庭を支える5G時代のロボット革命


高齢者とのコミュニケーションを支援するロボットや、家庭の見守りを行うロボットなど、様々な分野で人々の生活を支えるロボット技術が進化を遂げています。これらの技術革新は、人工知能(AI)の進化と共に、家族の一員としてのロボットの台頭を示しています。

ワーコンは、遠隔での見守りサービスを提供するために、会話可能なAI技術を採用した対話ロボット「anco(あんこ)」を2020年に共同開発しました。このシステムは、生体センサーによって利用者の健康状態を監視し、必要に応じて看護師が介入する仕組みです。

また、富士通はユニロボットの「unibo」を活用し、高齢者とのコミュニケーションを通じた健康管理と見守りを実現するシステムを開発しています。このシステムは、個々の健康状態や嗜好に合わせて、適切な会話や問いかけを提供し、日常生活の見守りに役立っています。

さらに、オートバックスセブンは、対話型機能を搭載したハタプロのAIロボット「ZUKKU(ズック)」を活用し、親と離れて暮らす中高年のためのサービスを開始しました。このサービスでは、親の見守りや会話を通じたコミュニケーションをサポートしています。

このようなコミュニケーション機能を持つロボットは、高齢者を癒やす「ロボットセラピー」にも活用されています。富士ソフトの「PALRO(パルロ)」や、ロゴスが開発したAI搭載の介護向けアプリケーションなど、様々なロボットが家庭や介護施設で活躍しています。

5G時代の到来により、ロボット技術はさらに進化し、家庭や社会での役割を拡大しています。これらのロボットは、家族の一員としての地位を確立し、日々の生活を賢くサポートしています。



介護施設の未来への挑戦:異業種参入がもたらす技術革新


介護ビジネスは、介護保険制度の導入以来、高齢社会に向けて急速に拡大しています。セコムや保険会社など、様々な企業が介護施設を運営し、技術革新によって人手不足などの課題に挑んでいます。

2015年に本格的に参入したSOMPOホールディングスもその一例です。SOMPOケアが運営する施設では、専用ロボットを活用した入浴介助やタブレットによる入居者情報管理など、介護職員の負担を軽減する取り組みを行っています。また、介護に特化した実験施設も設立し、自動運転の電動車いすや事故防止の見守りセンサーなど、先端技術を活用した実証も行っています。



テムザックが介護施設向けの巡回見守りロボットを量産


2019年、福岡県宗像市に拠点を置くロボットメーカーのテムザックが、介護施設向けの巡回見守りロボットの量産を開始します。このロボットは介護事業の高山商事と共同で開発され、入居者の夜間徘徊を顔認証で識別し、脈拍異常などを自動で検知して駆けつける機能を備えています。製品は11月中旬から受注生産が開始され、初年度には1000台の受注を目指します。

介護巡回ロボット「ソワン」は、入居者が手首などに装着する市販の活動量計と連動し、自動ドアシステムを備えた居室とセットになります。見守り対象者が10人程度の場合、月額6万円台のリース料で提供されます。このロボットは入居者の様子を撮影し、介護職員のパソコンに画像を送るだけでなく、入居者に近づいて介護職員が遠隔で呼びかけることも可能です。基本的に夜間の巡回をロボットが代行し、職員不足や人件費負担の課題に対処することが期待されています。

テムザックは過去に災害復旧作業や警備サービスのロボットを商品化しており、今回の「ソワン」もその一環です。製造は台湾の子会社で行われる予定です。一方、高山商事は2010年に設立され、障害者の介護施設の運営などを手がけています。彼らは愛知県内の介護施設で実証実験を重ね、ソワンを自社での営業や販売代理店を募って展開していく予定です。



東京都が先端企業を支援!都立施設で2年間の優先契約


東京都は2020年から、ロボットや人工知能(AI)などの先端技術を持つ新興企業を育成する取り組みをスタートします。このプログラムでは、都立病院などの施設で2年間の実証実験事業に優先契約を結び、これらの企業の成長をサポートします。また、国内外での取引拡大を支援し、東京が生み出すイノベーションの普及を促進します。

都政の課題解決に貢献するため、都内のスタートアップ企業が対象となります。都は地方自治法に基づき、対象事業を認定し、入札によらない契約により2年間の実証実験を依頼します。2020年1月からは、対象企業を3社程度公募する予定です。

都は3つの課題を提示し、応募企業に解決策を提案してもらいます。その一つは、2020年7月に開業する東京国際クルーズターミナルで、寄港した外国人観光客が都内をより楽しめるような提案を求めています。また、都立病院での患者の状態把握や、都立福祉施設での介護職員の負担軽減に向けた技術やサービスも募集されます。

採用された企業に対しては、都が国際会議でその技術やサービスを紹介するなど、国内外での売り込み活動もサポートします。これにより、東京のイノベーションが世界に広がる一助となるでしょう。



埼玉県の介護事業所、介護ロボット導入で人手不足を克服へ


埼玉県内の介護事業所では、約66%が人手不足を抱えており、17年10月から18年9月までの1年間での離職率は16・8%に上ることが調査で明らかになりました。特に、勤続3年未満の離職者が約7割を占め、職場の負担や不安が現場から声を上げています。

このような状況を受けて、埼玉県は介護ロボットの導入を奨励し、介護現場の負担軽減や人材の定着につなげたいと考えています。2016年度から、介護施設向けに介護ロボット購入費用の補助制度を導入しています。この補助制度では、移乗介護や入浴支援などに活用されるロボットに対して、経費の半額を補助しています。

補助の上限は1台につき30万円で、1事業所あたり最大3台までが対象となっています。この補助制度を利用する事業者は増加しており、18年度には46事業者が補助を受けました。介護ロボットの導入によって、現場の負担軽減や効率化が図られ、介護サービスの質の向上に寄与することが期待されます。



埼玉県が介護ロボットフォーラムを開催:地域の支え合いを進化させる一歩


埼玉県が、介護ロボットの導入による効果や支援策を紹介するフォーラムを開催しました。このフォーラムでは、導入した特別養護老人ホームなどからの成果報告や、補助金などの支援策が行われ、介護事業者を中心に210人が参加しました。また、23社の企業が参加する展示会も併せて開催されました。

2019年から埼玉県は、介護ロボットの導入を支援する「介護ロボットモデル事業」を展開しています。このフォーラムでは、モデル事業に参加した4つの施設が導入の成果を報告しました。導入による効果や課題を共有することで、県内の介護事業者によるロボットの活用を促進する狙いがあります。

具体的な事例として、埼玉県所沢市にある介護老人保健施設「雪見野ケアセンター」では、利用者の動きを検知し、夜勤中の職員が利用者の部屋を訪れる回数が減少したと報告されました。これにより、利用者の安全確保だけでなく、職員の負担も軽減されたというアンケート結果が示されました。

ただし、導入には計画策定やWi―Fi環境整備、職員への周知など多くの作業が必要であり、「戸惑う場面もあった」という声もありました。このような課題にも対応しつつ、介護ロボットの有効活用を進めることが今後の課題となるでしょう。



SOMPOホールディングス、5Gを活用した実験――食事管理が介護負担を軽減


SOMPOホールディングスは、2019年に介護施設で5Gを使った実証実験をスタートしました。この実験では、職員の負担が大きかった食事の場面をカメラで撮影し、画像解析を行うことで、高齢者の食事内容や量を職員が効率的に確認できるかどうかを検証します。SOMPOケアの施設で今秋から試験運用が開始され、その有効性や実現可能性を評価する予定です。

この実証実験は、総務省が5Gを活用した実証実験を行う一環として実施されます。SOMPOホールディングスは、NTTドコモと協力し、総務省からの実験委託を受けました。

具体的には、「ラヴィーレ舟入」内にカメラを設置し、来訪者や食事内容などを監視し、職員の負担軽減にどれだけ貢献できるかを検証します。この実験には、NECの顔認証技術も活用されます。

従来、介護施設では食事介助に関する業務負担が課題となっていました。職員は食事をとっている利用者を確認し、食事内容や量を都度チェックする必要がありました。これにより、食事時間はシフトを組む際の課題となっていました。

この実証実験では、カメラの設置場所や数、画像解析の精度などを詳細に検証します。また、カメラの設置による利用者の抵抗感なども調査されます。

今回の実験では、5Gを活用することで高精細な動画データが得られるため、正確な顔認証が可能となります。

この技術が実用化されれば、介護施設の職員は介護業務に割ける時間を増やすことができます。さらに、施設への訪問者の特定や、年間約300万円の施設費用の削減が見込まれます。将来的には、人工知能を使った食事量の分析も可能となるかもしれません。

SOMPOホールディングスは、介護現場でのIT活用を進め、最新技術を取り入れることで生産性向上を図っています。介護現場での人手不足の問題に対処するため、「人でなければできない部分に人手を割ける体制を作りたい」としています。



介護業界のデジタル革命:アプリがもたらす職員の負担軽減


札幌市に拠点を置くさくらコミュニティサービスは、介護業界向けの革新的なアプリを2019年に開発しました。このアプリは、介護記録の簡略化と職員の負担軽減を目指しています。今後、他の事業者にも無償で提供される予定で、介護データの収集やAIによるケアプラン提案などに活用される見通しです。

「Care Viewer(ケアビューアー)」と名付けられたこのアプリは、スマートフォンやタブレット端末、パソコンで利用できます。介護職員は日々の業務中に、食事や入浴の介助、健康状態の記録を即座に行うことが可能です。これにより、従来の手書き記録にかかっていた1日1~2時間の作業時間を大幅に削減することができます。

さくらコミュニティサービスは、国内のみならず海外でも介護事業を展開しており、外国人介護職員の増加にも対応しています。そのため、このアプリは日本語と英語に加えて、中国語、タイ語、ベトナム語、ミャンマー語にも対応しています。

さらに、静岡市のインフィック社のセンサー・機器を活用することで、室温や湿度のモニタリングだけでなく、利用者の動線などもアプリ上で把握することができます。大阪市のチャットワークとの連携により、介護保険証の有効期限などの重要な情報も即座に共有することが可能です。

このアプリの導入は無料であり、中小の介護事業者にとっては特に有益です。さくらコミュニティサービスの中元秀昭社長は、「事務作業の効率化や介護の質向上、職員の負担軽減に貢献することで、多くの事業者に利用してもらいたい」と述べています。

このアプリの普及により、さくらコミュニティサービスはAIによる介護支援計画の開発に必要なデータを蓄積し、介護業界のデジタル化を推進しています。中元社長は、「介護記録のデジタル化とAIによる支援計画作成が実現すれば、職員の負担が軽減され、離職率の低減や人材確保にも貢献する」と期待を寄せています。



パワーアシストスーツ、介護職員の負担軽減へ


2019年、奈良市に本社を置くパナソニックの子会社「ATOUN」は、介護施設向けにパワーアシストスーツ「モデルY」の販売を開始しました。このスーツは職員が着用し、腰への負担を軽減することを目的としています。大阪市の隆生福祉会が運営する施設での検証では、複数の人を車椅子に乗せる際などに特に効果的であることが示されました。

「モデルY」は、背中に本体を装着し、腰の横にあるモーターが太ももにかかるバンドを制御することで、腰の動きを支援します。また、中腰の姿勢を保つ機能も搭載されており、おむつ交換などの作業を楽にすることができます。

価格は約70万円で、リースの場合は月額約2万円です。製品は代理店を通じて販売され、施設の職員に特に好評です。介護職員の多くが女性である一方で、入居者の中には体格の大きな人も増えており、介護作業に伴う負担が増加しています。介護ロボットの活用は職員の確保にも役立つと考えられています。

ATOUNは大阪市の大阪保健福祉専門学校と連携し、学生が介護ロボットの基礎知識を身につける講座を提供しています。これにより、施設の職員にロボット技術への理解を深め、パワーアシストスーツの普及を促進しています。



センサーが要介護者の安全を見守る


2019年、横浜市に拠点を置く技術ベンチャー「TAOS研究所」は、センサー技術を駆使して要介護者の安全を守る見守り機器「AiSleep(エイアイスリープ)」を改良しました。この機器は、心拍や呼吸、睡眠状態などの生体情報をリアルタイムでモニタリングし、介護職員が要介護者がベッドから転落する前に介入できるよう支援します。

専用マットに組み込まれたセンサーが要介護者の動きを検知し、その情報は介護職員や家族がPCやスマートフォンで確認できます。これにより、介護職員は適切なタイミングで対応し、要介護者の安全を確保することができます。また、家族も安心して要介護者を介護施設に預けられるようになります。これにより、介護職員の負担軽減や業務効率化が期待されます。

横浜市を中心に行われた実証実験の結果を受け、機器を改良して要介護者の状態を一括管理できるようにしました。これにより、現場での利用がより使いやすくなりました。今後は国内だけでなく、中国など海外でも販売していく予定です。



AIが介護施設の適地探索から職員配置までサポート


新潟市に拠点を置くAIストラテジー(AIS)は、2019年に神奈川県厚木市にあるリビングケア研究所と業務提携しました。この提携により、AISの人工知能(AI)がリビングケアの介護施設の建設候補地を探索し、職員の適正配置にも活用されることになります。リビングケアは神奈川県内を中心に27か所の介護施設を展開しており、AISのAIを使って新たな施設を建設し、事業を拡大していく計画です。

AISのAIは、介護施設の適地を見つけるために衛星画像を活用し、土地の譲渡交渉を行います。特にガソリンスタンド跡地など、広さ560~825平方メートルの場所を介護施設の適地として選定します。そして、リビングケアは介護職員の配置にもAISのAIを活用し、利用者のサービス満足度やクレームに基づいて、最適な職員を配置します。

さらに、入所者ごとの健康状態に応じてAIが関連商品を紹介し、専用端末を導入して決済機能を付けることで、顧客の健康状態を判断します。この取り組みにより、リビングケアは入所者や利用者に対してより質の高いサービスを提供することが期待されています。

AISは、新潟県を拠点にAI技術を活用した事業展開を行っており、介護施設から他業種まで幅広い領域での連携を図っています。これにより、介護サービスの品質向上と事業の拡大が見込まれます。







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