世界経済は大きな変革の時を迎えています。コロナ禍からの回復を果たす一方で、ビットコインをはじめとする暗号資産の急落や、世界的なカネ余りの影響が金融市場に新たな波乱を引き起こしています。特にエルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用した試みが、IMFからの強い警告を受けるなど、金融リスクが顕在化しています。こうした状況下で、2030年を見据えたデジタルマネー時代の到来が迫っており、中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)やブロックチェーン技術が金融の未来を根本的に変えつつあります。
日本でも、ステーブルコインの導入が進んでおり、金融規制の整備が進行中です。この新しいデジタルマネーの形態は、安定性と利便性を兼ね備え、多くの場面での活用が期待されています。また、NFT市場が急成長を見せ、デジタルアートやスタートアップへの投資が注目されている中、仮想通貨のシェアが急落し、イーサリアムなどの省電力型通貨が市場を席巻しています。
一方、米国では、金融政策の変化やインフレの高まりが投資市場に与える影響が懸念され、金融緩和の終了がビットコインや株式市場の動向に大きな影響を及ぼしています。ウォルマートがメタバース進出を発表するなど、仮想通貨とNFTの商標登録が進む中、国際金融都市構想にも暗雲が立ち込めています。これらの変化を背景に、金融市場は大きな転換点を迎えており、私たちはこれからの時代をどう乗り越えていくのか、その行方を見守る必要があります。
コロナ後の経済波乱:ビットコイン急落と世界的なカネ余りの影響
エルサルバドルのビットコイン法定通貨化の試みは、予想以上の波紋を呼んでいます。2021年9月、中米エルサルバドルはビットコインを法定通貨に指定し、その後、同国のブケレ大統領はビットコインに基づく「ビットコインシティー」構想を発表しました。新たな戦略都市では、消費税を除く税金を撤廃し、ビットコインを裏付けとした10億ドルの国債発行も計画していました。
しかし、ビットコインの価格は急落しました。最高値の6.8万ドルから、2022年1月には3.5万ドルを下回る事態に。暗号資産全体の時価総額もピーク時から1兆ドル以上減少し、約110兆円が消失しました。この急激な価格変動は、エルサルバドルのビットコイン政策に大きな影響を及ぼしました。エルサルバドル政府は安値でビットコインを追加購入したものの、大きな評価損を抱える結果となりました。
国際通貨基金(IMF)は、ビットコインを法定通貨にするリスクを指摘しました。IMFは、ビットコインの価格変動が金融安定や消費者保護に悪影響を及ぼし、財政的なリスクを招くと警告しています。ビットコインの値下がりは、エルサルバドル国民の生活にも深刻な影響を及ぼしており、財産価値の目減りとインフレの二重苦に直面しています。
この状況を引き起こしたのは、世界的なカネ余りです。米国をはじめとする主要国による大規模な財政・金融政策が背景にあります。新型コロナウイルス対策としての大規模な経済刺激策が、米国のGDPをコロナ前の水準を超えるまでに成長させましたが、同時に株式市場や住宅価格のバブルを生む結果となりました。
このバブルの崩壊は、まず暗号資産市場で顕著になり、次に米ハイテク株などの他の資産にも波及する可能性があります。FRBは金融引き締めを進めているものの、インフレ圧力や原油価格の動向など、経済の不確実性は高まっています。エルサルバドルの試みは、こうしたマクロ経済的な動向の一部であり、今後の金融市場の変動を示すカナリアとなるでしょう。
2030年のデジタルマネー時代:中央銀行発行のCBDCとブロックチェーンが変える金融の未来
2030年の未来に向けて、私たちの「お金」の姿が大きく変わろうとしています。電子マネーや暗号資産(仮想通貨)の普及が進み、中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)が登場する時代が見えてきました。バハマが2020年に世界初のCBDCを発行し、中国も今年の本格発行を目指しています。さらに、2030年には欧州連合(EU)をはじめとする多くの国や地域が続く可能性が高まっています。
お金の形や信用の源泉は、歴史とともに変化してきました。紀元前670年ごろ、現在のトルコで鋳造された「エレクトロン貨」が世界最古の硬貨とされ、その後、貝殻や刀から硬貨、紙幣へと変遷を遂げてきましたが、常に「価値を測るモノサシ」としての役割を果たしてきました。
ブロックチェーン技術の登場により、物理的存在だったお金がデジタルへと変わりつつあります。この新しい技術によって、お金の動く速度や範囲、役割が一変し、低コストで瞬時に送金できるようになるだけでなく、国や政府も課税や分配などの政策を迅速に打ち出すことが可能になります。また、銀行口座を持たない低所得国の人々に金融サービスが行き渡る期待も高まっています。
2030年には、デジタルマネーの時代が到来し、お金そのものが情報を持つようになるでしょう。膨大なデータがどのように扱われるかによって、国の政策や企業の戦略、さらには人々の経済活動に至るまで、すべての歴史が変わる可能性を秘めています。
デジタルマネーの未来:日本版ステーブルコインの導入と規制の進展
「ステーブルコイン」の導入がいよいよ日本にも迫っています。ドルや円など、既存の法定通貨に価値を連動させたこの新しいデジタルマネーは、ビットコインなどの暗号資産とは異なり、価格の変動が安定しています。そのため、決済や送金手段として海外では普及が進んでおり、日本でもその動向が注目されています。
「デジタル通貨フォーラム」と呼ばれる約70社の連合体が、2022年内にも「DCJPY」と名付けたデジタルマネーを実用化する計画を進めています。このデジタルマネーは円と完全に連動し、企業間取引や日常の買い物など、さまざまな用途に利用される予定です。ユーザーは銀行に口座を開設し、その預金をもとに銀行が発行したデジタルマネーを利用します。従来の電子マネーに似たイメージですが、現金への払い戻しも可能です。安定した価値を持つため、個人間の取引でも安心して利用できるでしょう。
フォーラムの事務局を担うディーカレットDCPの時田一広社長は、現行法の枠内でシステムを構築しているものの、ステーブルコインに関する規制が整備され次第、機能を拡張する意向を示しています。ステーブルコインはブロックチェーン技術を基盤にしており、国際的にはドル建てやユーロ建てなど多くの種類が流通しており、その総額は約1500億ドルに達しています。しかし、日本では「通貨建て資産」が仮想通貨に該当しないため、法的な枠組みが整わず、国内での導入が遅れていました。
最近、金融審議会のワーキンググループがステーブルコインの規制に関する方向性を示しました。これは、銀行業務の為替取引に該当するとし、発行者には銀行や資金移動業者のライセンスが必要とされています。この内容は国際的な規制の流れに合致しており、今の通常国会で法律の改正案が提出される見通しです。増田雅史弁護士は、規制の方向性がある程度明確になったことを評価しています。
経済学者の野口悠紀雄氏は、米国の金融業界が銀行と異業種の協業により新しいサービスを生み出している点に触れ、日本版ステーブルコインがこのような競争と協業を促進することを期待しています。
ビットコインと株式市場の相関性が高まる!金融緩和の影響と今後の見通し
ビットコインをはじめとする暗号資産が注目されたのは、2021年11月に史上最高値を記録した時です。これを機に投機マネーが集まり、ビットコインはインフレリスクからの回避手段として人気を博しました。しかし、現在では最高値から半値近くまで価格が下落しています。この背景には、株式との相関性が高まったことが影響しているとの見方があります。
米ゴールドマン・サックスは、2023年1月のリポートで、仮想通貨の価格変動が伝統的な金融市場、特に新興テクノロジー企業の株価と強く連動していると指摘しています。これは、新型コロナウイルスの影響で金融緩和が進み、低金利下でリスクを取る投資家が増えた結果です。これにより、ビットコインと米国のS&P500株価指数との相関性が著しく高まったとされています。従来、仮想通貨と主要株価指数の相関はほとんどなかったのですが、コロナ禍での金融緩和によってこの関係が大きく変わりました。
しかし、金融緩和の終息とともに、リスク資産からの資金流出が顕著になっています。ゴールドマン・サックスは、仮想通貨が今後も金融引き締めなどのマクロ経済的な影響を受け続けるだろうと分析しています。つまり、仮想通貨市場はもはや独立して動くことは難しくなり、伝統的な金融市場との連動性が一層強まっているのです。
IMF、エルサルバドルのビットコイン法定通貨採用見直し要求! 金融リスクの指摘
国際通貨基金(IMF)は2022年1月25日、中米エルサルバドルに対して、2021年9月にビットコインを法定通貨として採用した決定の見直しを求めるとともに、同国が発行予定のビットコイン連動国債についても懸念を示しました。IMFの理事会は、ビットコインの法定通貨としての採用が金融の安定性や消費者保護に深刻なリスクをもたらすと指摘し、関連法の修正を勧告しています。
エルサルバドル政府は、店舗などでビットコインを利用できる専用アプリを導入しており、このアプリが低所得者層の金融アクセスを向上させる可能性があると一定の理解を示しています。しかしながら、IMFはその運用については厳格な規制が必要だと強調しています。
また、エルサルバドルのブケレ大統領は、2021年11月に「ビットコインシティー」の建設計画を発表し、2022年中に10億ドル分の10年債を発行する意向を示しました。この債券の半分はビットコインへの投資に充てられ、値上がりによる利益を見込んでいます。IMFはこの計画にもリスクが高いと警告しています。
NFT投資が66倍成長:デジタルアート市場で注目されるスタートアップとは?
NFT(非代替性トークン)が急速に成長し、デジタル資産の新たな市場として注目を集めています。NFTは、画像や音声、動画などのデジタルコンテンツを唯一無二の本物であると証明する技術で、2021年にはこの分野への投資が急増しました。特に世界中のスタートアップ企業がその中心となり、2021年1月から9月までの資金調達額は21億ドルに達し、前年から実に66倍もの成長を遂げました。この成長は主に米国と欧州の企業によって支えられ、欧米のスタートアップが全体の約8割を占めています。
NFTの市場が注目を集めたきっかけは、デジタルアーティストであるビープルの作品「エブリデイズ最初の5000日」がクリスティーズのオークションで6900万ドルで落札されたことです。また、2021年年10月には、米ラーバ・ラブズの「クリプトパンクス」と呼ばれるデジタルアート作品が驚異的な5億3200万ドルで取引され、さらなる注目を集めました。これに伴い、NFTの制作や取引、販売を手掛けるスタートアップ企業への投資額も過去最高を記録し、特にアーリーステージの企業に多くの資金が流れ込みました。
一方で、NFTの市場にはいくつかの課題も存在します。まず、NFTの投機性が指摘されており、イーサリアムなどの仮想通貨の価格が大きく変動するため、転売目的の投資家が市場を活発に動かしています。このような価格変動が続く中で、NFTの普及には安定性が必要とされており、一般の購入者にとってはまだ抵抗感があるでしょう。
さらに、日本国内ではNFTを規制する法律が整備されていない現状があります。例えば、スマホゲームでNFTを獲得できる仕組みが賭博としてみなされるリスクも指摘されています。このため、日本暗号資産ビジネス協会は事業者向けのガイドラインを発表し、今後は法規制や安全な取引環境の整備が求められるでしょう。NFTの未来は多くの可能性を秘めていますが、その成長を支えるためには、投機性の抑制や法整備が急務です。
ビットコイン急落で仮想通貨市場に冬の予兆?2024年の展望とは
2022年1月25日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比66ドル安の34,297ドルで取引を終えました。市場は26日に控えた米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表に緊張感を抱いており、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の動向にも注目が集まっています。2021年11月の過去最高値から半値まで急落したビットコインは、投資家のリスク回避姿勢により、正念場を迎えているようです。
「仮想通貨の冬再来か?」という話題が、2022年1月25日にはツイッターや米国のメディアで盛んに議論されました。同日、ビットコイン価格は一時3万7,000ドル台まで回復しましたが、24日には3万3,000ドルを割り込み、2021年7月以来の低水準にまで落ち込んでいました。他の主要な仮想通貨も軒並み下落しており、直近のピーク時から約1兆ドル(約113兆円)の時価総額が市場から消失したことになります。
投資家の間では、2018年に起こったビットコインの暴落が脳裏をよぎっています。2017年末に約1万9,000ドルを記録したビットコインは、翌年末には約3,100ドルまで8割も下落しました。その後、機関投資家の参入が相次ぎ、仮想通貨は投資商品や決済手段として復活を果たし、事業会社による投資も増加しました。これにより、仮想通貨の価格は株式など他のリスク資産との連動性が高まっています。
ビットコインに数十億ドルを投資していることで知られる米マイクロストラテジーは、2022年1月25日に株価が1%下落し、ダウ平均を上回る下落率を記録しました。また、仮想通貨に投資している米電気自動車メーカーのテスラも、年初来で13%下落し、ビットコインと同様の値動きを見せています。
一方、仮想通貨市場が「冬」の兆しを見せる中でも、関係者の間では楽観的な見方が目立っています。マイクロストラテジーの幹部は仮想通貨への投資を継続する姿勢を示し、メタ(旧フェイスブック)のデジタル通貨開発を率いていたデービッド・マーカス氏は「仮想通貨の冬こそ、優れた起業家が優れた会社を作る」とツイートしています。
さらに、直近の資金の流れにも反転の兆しが見えています。デジタル資産運用会社のコインシェアーズが発表したリポートによると、仮想通貨関連ファンドには先週、6週間ぶりに資金が流入しました。特にビットコインが急落した週後半に資金が集中しており、投資家が今の価格を「買いのチャンス」と捉えていることがうかがえます。
米オアンダのエドワード・モヤ氏は、2022年1月25日に見られたビットコインの価格上昇について「仮想通貨トレーダーにとって非常に有望な動きだ」と指摘し、今後数日以内に4万ドル台に回復すれば、さらなる好転の勢いが生まれるとの見解を示しています。
また、2022年1月26日にはテスラの決算発表が控えています。これまでツイッターでの投稿が市場に大きな影響を与えてきたイーロン・マスクCEOの発言が、再び相場を動かす可能性があります。今回の「冬」は2018年ほど長引くかどうかは不明ですが、その影響が広範囲に及ぶことは確かでしょう。
ビットコイン急落の背景とは?利上げ懸念と仮想通貨規制強化が引き金に
ビットコインが急激に下落しています。2024年1月23日には21日終値比で一時1割以上の下落を見せ、価格は昨年11月の過去最高値からほぼ半値の水準に落ち込んでいます。主な原因は、米国が金融引き締めを加速させる懸念と、世界各国で仮想通貨への規制強化が進んでいることです。
情報サイト「コインデスク」によると、2024年1月21日には一時43,000ドル台で推移していたビットコインが、23日には34,000ドル台まで値を下げました。この背景には、資源価格の上昇によるインフレ懸念があり、それに伴い米国が利上げを急ぐとの見方が広がっていることが挙げられます。
マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは、2018年以降、仮想通貨と他のリスク資産、特に株式との値動きの関連性が強まっていると指摘しています。特に、米国の株式市場がハイテク株を中心に大幅に下落したことが、仮想通貨市場にも影響を及ぼし、大口投資家が利益確定のために売りを急ぐ動きが見られました。
さらに、仮想通貨に対する世界的な規制強化の動きも影響しています。ロシア中央銀行は、仮想通貨が自国の金融システムに対する脅威であるとして、仮想通貨の支払いと採掘の禁止を提案。また、シンガポール金融管理局(MAS)は、2024年1月17日に公の場での仮想通貨広告を禁止するガイドラインを発表しました。
ベトナム、仮想通貨普及率で世界トップに! アジア市場の急成長
アジアでの暗号資産(仮想通貨)の普及が急速に進んでいます。米国のブロックチェーン分析会社チェイナリシスが発表した2021年版の暗号資産普及指数では、ベトナムが首位に輝きました。続いて2位がインド、3位がパキスタンと、アジア諸国が上位を占めています。この指数は、各国の仮想通貨保有額や送金額、さらには購買力を考慮して算出されたものです。
ベトナムでは、仮想通貨を利用した決済は法律上違法とされていますが、それでも投資商品としての人気が高まっています。また、仮想通貨を活用したゲームも大きな注目を集めています。ホーチミンに拠点を置くゲーム開発会社「スカイメイビス」は、世界中に利用者を拡大し、その企業価値は約30億ドル(約3400億円)に達するなど、産業として急成長しています。
米トーマ・ブラボー創業者、仮想通貨とブロックチェーンに注目する理由とは?
ウォール街の変革を予感させる状況が進行しています。米トーマ・ブラボーの創業者オーランド・ブラボー氏は、プライベートエクイティファンドで約10兆円を運用し、これまでに350社以上のソフトウェア関連企業を買収してきました。彼はソフトウェア分野の成長を確信し、今後もトップ企業の買収に注力する姿勢を崩していません。そして、新たな成長分野として暗号資産やブロックチェーン技術に目を向けているのです。
ブラボー氏は、ソフトウェアビジネスの強みとして、ほぼ100%の継続課金型収益と高い利益率を挙げています。さらに、サプライチェーンの問題に左右されず、知的財産を世界中に提供できる点も大きな魅力だと語っています。また、ソフトウェアは他の産業と比べても、もはや並列ではなく、全ての産業で不可欠な存在となっているとも述べました。
インフレが企業業績に与える影響についても触れ、ブラボー氏は、インフレは一過性のものではなく、財政・金融政策の結果であると指摘しています。その中で、ソフトウェア企業は高インフレ下でも優位に立てると強調しました。なぜなら、ソフトウェアは少ないリソースで多くの成果を上げることができ、従業員の生産性を向上させるからです。
さらに、買収価格の高騰についても、「今のソフトウェア企業は、10年前とは全く異なるビジネスモデルを持っており、買収価格の比較は難しい」とし、成長性を重視しています。彼はまた、KKRなどの総合型PEファンドがテクノロジー企業への投資を進める動きについても触れ、「あらゆる産業でソフトウェアが中心となっている現状では、こうした動きは理にかなっている」と評価しました。
そして、ブラボー氏が注目している次の成長分野は、仮想通貨とブロックチェーン技術です。彼は、この分野の魅力として、公平で透明性の高いシステムと、少ない資金で迅速に事業を立ち上げられる点を挙げています。また、トークン発行による資金調達が仲介業者を不要にし、プロジェクトの価値が高まれば報酬を得られるという新たな所有権の形も魅力的だと語っています。
規制強化については、「明確なルールによって恩恵を受ける分野も多い」として、歓迎の姿勢を示しています。分散型金融(DeFi)がウォール街に与える影響についても、ブラボー氏は「ウォール街は大きく変わるだろう」と予測し、変化を前向きに捉える姿勢を強調しています。
デジタルドルの導入が迫る!FRBが提示した利点と課題とは?
米連邦準備理事会(FRB)がデジタルドルの導入に向けて動き始めました。1月20日に発表された報告書では、デジタルドルがもたらす利点や課題が示され、一般からの意見公募や討論会の実施が予定されています。デジタルドルの導入により、決済システムの革新や異なる決済サービス間の連携が期待され、低所得層の金融サービス利用の拡大や国際送金の利便性向上といった利点が見込まれます。しかし、実現にはいくつかの課題も伴います。例えば、銀行預金からの資金移動による金融仲介機能の低下や、利用者のプライバシー保護、資金洗浄対策、サイバー攻撃への対応などが挙げられます。
現状、仮想通貨市場は急速に成長しており、特に法定通貨を裏付けにしたステーブルコインの市場規模は、昨年から約5倍に膨れ上がり、1600億ドルを超えています。この市場の拡大に対して、FRBはステーブルコインの裏付け資産が価格の変動や流動性の問題を抱えていると警戒しています。
金融機関のデジタル化も進んでおり、米JPモルガン・チェースは2020年に「JPMコイン」を実用化し、国際決済や送金での利用が可能になっています。また、中国は「デジタル人民元」の開発を進めており、国内流通のみならず国際的な貿易決済や送金にも対応しようとしています。これに対抗する形で、欧州中央銀行(ECB)など他の中央銀行も準備を本格化させています。
日本銀行は現時点で具体的な発行計画を示していませんが、「発行しないこともリスクになる」との声があり、世論や政府の意向に応じて迅速に対応できるよう準備が進められています。FRBのブレイナード理事が副議長に指名され、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の検討が加速するかどうかも注目される点です。報告書によると、一般からの意見募集は4ヶ月後の5月20日まで行われる予定ですが、具体的なスケジュールについてはまだ示されていません。デジタルドルの実現には、多くの要素を慎重に見極める必要があるでしょう。
ニューヨーク市長、仮想通貨で初給与受領?金融革命の先駆者としての挑戦
ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長が2022年1月21日に、就任後初めての給与をビットコインとイーサリアムという主要な暗号資産で受け取りました。この大胆な一歩は、ニューヨークを仮想通貨の中心地にするというアダムズ氏のビジョンの一環です。彼は声明で、「ニューヨーク市を金融革命の最前線に位置づけ、雇用創出や景気の改善を図り、世界中から優秀な人材を引き付けたい」と述べています。この取り組みは、ニューヨークがデジタル資産の新しい時代をリードする姿勢を示すものです。
ビットコインのシェア急落:イーサリアムと省電力型通貨が市場を席巻
仮想通貨市場の勢力図に変化が訪れています。ビットコインのシェアが今年に入り、一時的に約4年ぶりに40%を下回りました。これは、ビットコイン以外の仮想通貨が急速に勢力を増しているためです。特に、金融サービスやNFT(非代替性トークン)で利用される仮想通貨が注目されています。これに加え、マイニング(採掘)の際に消費電力が少ない通貨が選ばれる傾向も強まっています。
コインマーケットキャップによると、ビットコインのシェアは2022年1月17日時点で39.3%に減少し、2020年末比で31.3ポイントも低下しました。一方で、イーサリアムのシェアは19.2%に増加し、ビットコイン以外の通貨が存在感を高めています。ビットフライヤーのマーケットアナリストは、金融引き締めによる投資資金の流出がビットコインの価値に影響を与えていると指摘しています。
仮想通貨市場には1万6千種類以上の通貨がありますが、現在投資家が注目しているのは、DeFi(分散型金融)やNFTで使用できる通貨です。ビットコインは送金機能のみで、これらの機能には対応していません。これに対し、イーサリアムはブロックチェーン技術を利用して様々な金融サービスを提供することができ、時代に合った機能を持っています。イーサリアムの価格は2021年に前年比3.5倍に上昇しました。ソラナやアバランチといった新興仮想通貨もDeFiやNFTでの利用が増え、高騰が期待されています。
さらに、省電力も選ばれる条件の一つです。ビットコインのマイニングには膨大な電力が必要で、年間の電力消費量はスウェーデンと同等とされています。これに対して、ソラナなどの「省電力型」仮想通貨は、マイニング時のエネルギー消費を抑える仕組みが評価されています。イーサリアムも省電力型への移行を進めており、これが成功すればビットコインに次ぐ存在としての地位を確立するかもしれません。
ただし、イーサリアムを含む多くの仮想通貨は、ビットコインを交換することで得られるため、ビットコインの影響から完全には逃れられません。今後の仮想通貨市場での成長は、NFTやDeFiの普及、そして環境性能の向上にかかっています。
最高裁が無罪判決:仮想通貨マイニングの不正性を厳格に判断した理由とは
2022年1月20日、最高裁は他人の端末を無断で使用して暗号資産(仮想通貨)をマイニングしたとして不正指令電磁的記録保管の罪に問われていたウェブデザイナー、諸井聖也氏(34)に対し、無罪の判決を下しました。この判決では、プログラムの定義に関して、影響や利用方法を厳密に評価し、不正性の範囲を慎重に判断する必要があるとされました。
諸井氏は、ウェブサイトに「Coinhive(コインハイブ)」というマイニングプログラムを設置し、その収益がサイト運営者に渡る仕組みを採用していました。当初、この方法はネット広告の代替手段として注目されていましたが、利用者に事前に告知しないことから、ユーザー間で疑念が生じていました。
最高裁は、コインハイブの動作が閲覧者に気づかれるほどの影響を与えるものではなく、社会的に許容できる範囲内だと判断しました。この判決により、プログラムの不正性については、その影響や利用方法を厳格に考慮すべきであるとの立場が示されました。ただし、この判決が他の無断マイニング行為を全面的に認めたわけではなく、今後のサイバー捜査においては、技術と法律の双方での精密な判断が求められます。
ウェブ開発の技術革新が進む中、サイバー捜査の精度向上が急務です。警察庁は今年4月に新設される「サイバー局」で、都道府県警の枠を超えた専門的な捜査部隊を設立する予定です。この新部隊は、技術的な知見やノウハウを活用し、新技術に対する迅速な対応を進めることが期待されています。民間事業者や技術者との連携も重要で、サイバー犯罪に対する信頼性の高い捜査が求められています。
「無断仮想通貨マイニングで最高裁無罪判決」ネット広告と同様の許容範囲に
2022年1月20日、最高裁は仮想通貨の「無断採掘」に関する注目の判決を下しました。ウェブデザイナーの諸井聖也被告(34)が、他人のパソコンを無断で利用して仮想通貨のマイニングを行ったとして、不正指令電磁的記録保管の罪に問われていました。この事件では、プログラム「Coinhive」を使い、サイトの訪問者のパソコンで仮想通貨の取引記録の検証作業を行い、その収益をサイト運営者が得る仕組みが問題となりました。
諸井さんは2017年10月から11月にかけて、自ら運営する音楽サイトにこのプログラムを仕込んだとして起訴されましたが、採掘による収入はわずか800円程度でした。裁判の争点は、このプログラムが「閲覧者の意図に反して不正な動作をしているかどうか」という点でした。一審と二審では、意図に反したという認定はされましたが、その不正性についての判断は分かれました。一審は無罪を言い渡し、二審は罰金10万円の有罪判決を下しました。
最高裁の第1小法廷(山口厚裁判長)は、「プログラムの影響がネット広告と大差なく、社会的に許容される範囲内である」として逆転無罪を言い渡しました。裁判所は、プログラムが動作してもパソコンの消費電力がわずかに増える程度であり、処理速度もそれほど遅くなるわけではなく、閲覧者が明確に気づくことはなかったと指摘しました。これにより、プログラムの使用がネット広告と同様の収入目的であったと判断されました。
ただし、最高裁はこの事件に限って無罪とし、一般的に同様の行為が許容されるわけではないとしています。利用目的が悪質であれば、刑事責任を問われる可能性が残されていると考えられます。
ウォルマートがメタバース進出へ!仮想通貨とNFTの商標登録を申請
米小売り大手ウォルマートが、仮想通貨と非代替性トークン(NFT)の商標登録を申請したことが明らかになりました。この動きは、メタバースへの進出を視野に入れたものと考えられています。ウォルマートは、2021年12月末に7つの商標を米国特許商標庁に提出しました。知的財産を専門とする米法律事務所「ガーベン・インテレクチュアル・プロパティ」のジョシュ・ガーベン弁護士によれば、ウォルマートは独自の仮想通貨とNFTコレクションを計画しており、これによりメタバース内での商品提供を目指しているとのことです。
申請された商標には、メタバース内での電子機器や家庭用装飾品、おもちゃ、スポーツ用品などを販売するバーチャルストアの展開や、独自の仮想通貨の提供計画が含まれています。ウォルマートの広報担当者は、「新たな技術が未来の買い物体験をどう形作るのかを継続的に調査している」と述べています。
米IT大手が次々とメタバースに注力する中で、小売業界でも仮想空間での商品提供に参入する動きが加速しています。例えば、スポーツ用品のナイキは2021年11月に仮想空間での商品販売を見越した商標を申請し、12月にはバーチャルスニーカーを制作するRTFKT(アーティファクト)を買収しました。また、高級衣料ブランドのラルフ・ローレンも、韓国のメタバースプラットフォーム「ZEPETO(ゼペット)」で利用者のアバターに着せる衣料品を提供しています。
NFT市場が過去最高4000億円を突破!仮想通貨市場の新たな投資先
デジタル資産であるNFT(非代替性トークン)の市場が、今まさに活況を呈しています。2022年1月の世界全体のNFT取引額は16日時点で約35億ドル、つまり約4000億円に達し、これまでの月間最高記録を更新しました。前回の最高記録は2021年8月の34億ドルでしたが、それを上回る結果となりました。これは、米国の金融政策の影響で暗号資産(仮想通貨)の価格が下落する中、ゲームやアートをはじめとするNFTの分野に投機マネーが流入しているためです。
リトアニアのブロックチェーン企業であるダップ・レーダーの調査によれば、世界のNFT取引の大半は、米国の取引所オープンシーで行われています。特に2021年12月には、中国でのNFT利用者数が前月比で約3倍に増加し、米国を抜いて世界最大の取引国となりました。主にゲームのキャラクターやアイテムに関連したNFTが人気を集めており、東南アジアでも利用者が急増しています。
また、アート市場においてもNFTの影響が拡大しており、アートプライス・ドット・コムのデータによると、2021年6月までの1年間でNFT作品が現代アート市場全体の取引額の5%を占めています。
しかし、こうした市場の急激な成長には、投機マネーによる過熱感が伴っています。ゲーム内のキャラクターが約1000万円で取引される例や、仮想空間「メタバース」内の土地が1区画あたり200万円で売買される状況が報告されています。これらの動きは、かつての仮想空間「セカンドライフ」の一時的な流行を思い起こさせますが、その後、セカンドライフは急速に衰退しました。
さらに、米国を中心に金融緩和が引き締められる中、ビットコインをはじめとする仮想通貨から資金が急速に流出しています。NFTはしばしば仮想通貨の価格と連動するため、これに対する市場の警戒感が高まっています。
マネロン対策遅延で国際金融都市構想に暗雲、FATFの指摘が日本に影響
政府・与党は、2022年1月17日に召集される通常国会で、マネーロンダリング対策を強化する法案の提出を見送る方針を示しました。これは、参院選を控えて会期延長が難しいことから、提出する法案の数を絞るための措置です。しかし、日本は国際的な組織から対策が不十分であるとの指摘を受けており、これが国際金融都市構想に影を落とす可能性があります。
政府は、暗号資産取引業者への監視を強化することを含む法案を準備していました。この法案では、犯罪収益移転防止法や外為法などの関連法をまとめて改正し、不正な口座売買などへの対策を強化することが予定されていました。しかし、同法案は経済安全保障推進法案やこども家庭庁設置法案などの重要法案が優先されるため、今回は見送られることになりました。
国際的なマネーロンダリング対策を監視する金融活動作業部会(FATF)は、2021年8月に日本を「重点フォローアップ国」とし、実質的には不合格と評価しました。この評価は、暗号資産交換業者による顧客管理や法人の実質的支配者の確認が不十分である点、またマネーロンダリング犯罪に対する法定刑が軽い点などが原因です。FATFは、日本に対して改善状況の報告を毎年求める予定で、法改正の遅れが審査に影響する可能性があります。
日本政府は、東京を中心にグローバルな金融取引や投資活動の拠点を構築する国際金融都市構想を掲げています。しかし、マネーロンダリング対策が不十分と見なされると、海外からの金融機関や高度な人材の誘致が難しくなる恐れがあります。
「最安」トルコで仮想通貨人気急増!リラ安とインフレで新たな投資先を模索
トルコは近年、高インフレと政策金利の引き下げが引き金となり、急激な通貨安に直面しています。国際決済銀行(BIS)の統計では、トルコリラの実質実効為替レートが2021年春から世界最下位に定着し、「最も安い国」として知られるようになりました。この状況を背景に、トルコ国内ではリラを暗号資産(仮想通貨)に交換する動きが広がりを見せています。
ブロックチェーン分析会社のチェイナリシスによれば、2021年10月から12月の間にトルコ国内の主要取引所3カ所でのリラと仮想通貨の取引高は、1日平均で約18億ドル(約2070億円)に達し、これは2020年後半以降で最高の水準となりました。特に米ドルと連動する「ステーブルコイン」の最大手である「テザー(USDT)」が人気を集めています。データ提供会社クリプトコンペアによると、テザーの取引に使われる法定通貨の中で、リラは米ドルに次いで2番目に多く取引されているとされています。
トルコ政府はリラ安を食い止めるために、リラ建て定期預金を保護する制度を導入しました。その結果、リラ相場は最安値から約2割回復し、現在1ドル=13リラ台で推移しています。しかし、自国通貨への信頼が再び失われるような動きが進めば、再びリラ安が進行する可能性もあるでしょう。
シタデル・セキュリティーズ、仮想通貨VCから初の巨額資金調達!IPO準備の可能性も
米シタデル・セキュリティーズは2022年1月、これまで外部からの資本を受け入れていなかった同社が、ついに有力ベンチャーキャピタル(VC)であるセコイア・キャピタルと、仮想通貨に特化した投資会社パラダイムからの出資を受け入れると発表しました。今回の資金調達額は11億5,000万ドル(約1,320億円)に達し、これによりシタデル・セキュリティーズの企業評価額は220億ドルとなりました。これは、同業他社である米上場企業バーチュ・フィナンシャルの時価総額の約4倍に相当します。
シタデル・セキュリティーズの創業者であるケン・グリフィン氏は、以前から仮想通貨に対して懐疑的な立場を取っていましたが、今回の出資受け入れは戦略転換を示すものとされています。市場では、この動きが同社の新規株式公開(IPO)に向けた準備の一環ではないかとの見方が浮上しており、今後の展開に注目が集まっています。
シタデル・セキュリティーズは、電子トレーディング技術を強みとし、マーケットメーカーとして世界の金融市場で広く事業を展開してきました。同社は、米国内の個人投資家による株式売買の約37%を執行するという圧倒的な市場シェアを持っています。今回の資金調達により、新しい市場への進出をさらに加速させる意向を示していますが、具体的な進出先については明言していません。
浦和レッズがNFT発行へ!プロスポーツ界に広がるデジタル資産の新潮流
プロスポーツクラブが続々と非代替性トークン(NFT)事業に参入し、ファンサービスの新たな形を模索しています。サッカーJリーグ1部(J1)の浦和レッドダイヤモンズ(浦和レッズ)は2022年1月12日、NFTの発行を正式に発表しました。同様に、プロ野球パ・リーグ6球団もNFTの販売を開始し、デジタル資産を活用してファンコミュニティを拡大しつつ、新たな収益源の確保を目指しています。
NFTとは、唯一無二のデジタル資産として、一つしか存在しないデータを割り当てる技術です。ブロックチェーン(分散型台帳)を利用しているため、所有者はデータの所有権を証明できるだけでなく、2次流通も容易になります。浦和レッズは選手の紹介写真や試合動画をNFTとして発行し、専用のコミュニティ内で販売する予定です。このプロジェクトの技術基盤は、ミンカブ・ジ・インフォノイドが提供しています。
プロ野球界でも同様の動きが見られます。パシフィックリーグマーケティング(パ・リーグ6球団が出資)がメルカリと提携し、名場面を切り取った動画コンテンツの販売を2021年12月に開始しました。2022年中にはこれらの動画をNFTとして発行する計画です。
こうしたNFT事業への参入が相次ぐ背景には、新型コロナウイルスの影響でリアルな試合観戦が制限される中、デジタル資産を通じて新たなファンとのつながりを構築したいという意図があります。大手会計事務所デロイトの予測によれば、2022年のスポーツNFTの取引額は前年比倍増の20億ドルに達する見込みです。
一方で、法的な課題も存在します。NFTは法律上の定義が明確ではなく、アメリカでは「NBAトップショット」のNFTが有価証券に該当するかどうかの訴訟が発生しています。日本でも、NFTの設計によっては、暗号資産(仮想通貨)との線引きが問題となる可能性があるでしょう。
ビットコイン、4万ドル割れの衝撃 ? 金融政策が市場に与える影響とは?
2022年1月、ビットコインの価格が一時4万ドル(約460万円)を割り込み、2021年9月以来、4カ月ぶりの安値を記録しました。背景には、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策正常化への警戒感が高まる中、米長期金利の上昇に対する市場の不安がありました。米調査会社コインデスクのデータによると、10日の夜、一時3万9677ドルにまで下落し、前年末と比較して16%の値下がりを見せました。マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは、「FRBの動向とそれに伴う債券市場の変動がビットコイン市場に大きな影響を与えています」と述べています。
さらに、カザフスタンでの燃料価格高騰による政情不安が、現地でのビットコインのマイニング活動に影響を与えていることも、価格下落の一因となっています。欧米では機関投資家や個人投資家が、債券利回りや採掘量を考慮した自動売買モデルを使用しており、これらの要因が相まって売りが加速し、ビットコインが売られ過ぎる状況に陥っていると、ディーカレットの前田慶次ディレクターは指摘しています。しかし、4万ドルを割り込んだ際には、欧米の投資家を中心に押し目買いが入り、価格が反発しました。
カザフスタンの政情不安でビットコイン急落―マイニング拠点の危機が仮想通貨市場に影響
2022年1月、カザフスタンでのデモが激化し、ビットコインに地政学的リスクが浮上しています。燃料価格の急騰が発端となったこの政情不安により、ビットコインの価格は2021年末に比べて1割以上も下落しました。カザフスタンは、中国がマイニングを禁止して以来、ビットコイン採掘の一大拠点となっていましたが、最大手の通信事業者カザフテレコムがインターネットを遮断したことで、採掘活動が一時的に停止しました。
ビットコインのマイニングとは、高性能なコンピューターを使って膨大な計算を行い、取引データを検証・承認する作業です。この計算を最も速く解いた者には、新たなビットコインが報酬として与えられます。英ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センターのデータによると、2021年8月時点でカザフスタンは、米国に次ぐ世界第2位のマイニングシェアを持っています。
しかし、カザフスタン全土でのインターネット遮断措置は、ビットコインの決済ネットワークやマイニング活動に大きな影響を与えています。インターネットが長期間遮断された場合、カザフスタン内のマイニング施設は停止を余儀なくされるか、国外へ移転する可能性が高まります。このような状況が続けば、ビットコインを保有する業者が現物を売却するという憶測が広まり、さらに価格下落が進む可能性があると、国内大手の仮想通貨交換業者の社長は警告しています。
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