15年間毎日飲酒を繰り返してきた酒クズが、断酒して分かった「幸せ」の意味!禁酒生活はメリットだらけ

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お酒は日本で合法的に認められた薬物である。

お酒を通じたコミュニケーションによって、会話が弾みお互いの仲が深まる「飲みにケーション」は、かつて重要視されてきた。

人と人との関係を深め、関係を後押しするお酒が人間関係の円滑油となることは否定しがたい。

それでもお酒がもたらす危険性は、時にメリットを凌駕するほど凄まじいものである。

大学生以来、ほぼ休肝日もなくお酒を飲み続けてきた筆者は、完全に酒に支配され、酒によって知らず知らずのうちに人生が破滅していくことに、15年間無頓着だった。



生涯で107万人がアルコール依存症になる日本


2013年に行われたわが国の成人の飲酒行動に関する全国調査によると、ICD-10によるアルコール依存症の生涯経験者数は、男性の1.9%(94万人)、女性の0.2%(13万人)であり、推計数は男女合わせて107万人でした。

日本のアルコール消費量は年々低下しているものの、若い女性と高齢者にアルコール依存症が増加しているとのこと。

またハラスメントにうるさくなった昨今、職場の飲み会は減少し、若者の酒離れも進んでいるそうだ。

「酒は百薬の長」などとも言われ、適量の飲酒はむしろ健康に良いとさえ言われてきた。

適量のアルコールが体に良いかどうかは賛否両論あるものの、お酒が好きな人が酒を飲み始めると適量で留めることは至難の技。

外での付き合いだけで酒を飲むのならまだしも、毎日習慣的にお酒を飲み始めると、危険信号であるのは確かである。



酒に強いとの自負から習慣飲酒へ


世の中にはお酒の強さでマウントを取りたがる人が一定数います。

特に若いころは、お酒が強い人=カッコいいと感じてしまう人も多いです。

そんな私も親族に酒豪が多く、体質的にお酒に対して強い方でした。

当初は飲み会などの外での付き合いで飲む程度だった私も、毎日のように習慣的に飲むようになるまで時間はかかりません。

毎日酒を飲まないと気が済まず、酔った高揚感を求めて、寝るまで酒が止まらない毎日。

それでも20代の頃はアルコールの分解能力も高く、多少飲み過ぎても次の日は何事もなかったように活動できたのです。

酒に溺れながらも、アルコールを通じた交流や遊びに若さの勢いで奔走する毎日は、一生忘れられない青春の一時でした。



知らないうちに酒に支配されているのに自覚はまったくなく


特に毎晩の晩酌が悪だという発想もなく、ほぼ休肝日なしで飲み続けて5~6年が経った20代後半には、仕事以外のプライベートはほぼ酒が中心になります。

仕事から帰ると酒を飲みながら寝る時間までの間を過ごすのはもちろんのこと、酔った勢いに任せて衝動的にお金を使ってしまうことが増えました。

週末にクラブやバーで酒を飲んでは、夜の街で散財。

どんなに酒に溺れても次の日には何事もなかったように仕事をこなす日々です。

この頃から飲酒することでしか喜びを感じられなくなり、メンタルも少しづつ崩壊するものの自覚は全くありませんでした。

そして付き合う友人も酒の場で知り合い、酒を通じてコミュニケーションを取る間柄の人ばかり。

まさに酒に支配され、一緒に酒に酔うことでしか友人とは繋がれない状況でした。



晩酌が何よりの楽しみだと感じるのは危険信号


令和5年を迎えた日本は飲酒に寛容な国で、飲酒は嗜好品として日本社会の至る所に根付いています。

居酒屋やバー・ビアガーデンなどの酒を通じた人々の交流や、音楽イベントやナイトクラブ・キャバクラなど、酒なしでは成り立たないイベントや店舗は数多くあります。

これだけ日本社会に深く浸透している飲酒を、悪として禁止するには無理があるでしょう。

人と人の距離が一気に縮まったり、会場の雰囲気を盛り上げたりできるのは、まさにアルコールの威力です。

お酒を通じた楽しい思い出がある人も多いはずです。

そんな人々に勢いと楽しみをもたらしてくれる一面もある飲酒を、一概に悪者にするのは難しいでしょう。

何より酒好きは、「酒=悪」とされることに激しく抵抗するはずです。

確かに、人との交流やイベントなどの機会に飲酒をするだけなら、あまり問題はありません。

しかし毎日にように習慣的に飲酒するようになってしまうと話は別です。

毎日の晩酌が何よりの楽しみで、禁酒するように言われようものなら、まるで生き甲斐を奪われたかのように感じる人は、すでにアルコール依存症か予備軍でしょう。



次第に壊れていく心身の健康と狂う金銭感覚に危機感を感じ断酒を決意


筆者が30歳を過ぎた頃には、当然毎晩飲酒している影響が少しづつで始めます。

体型は少しづつ崩れ、飲酒した際の浪費度合いはエスカレートし、疲労が抜けにくく翌日まで影響が出ることが増えたのです。

何度も減酒しようと試みるも、結局もとの飲酒量に戻ってしまうことを繰り返します。

ところが30代に入って、大量の飲酒によって記憶をなくすブラックアウトを何度か経験したのです。

ある時、夜の街で飲み歩き、気づくと自宅に寝ている自分がいます。

二日酔いの体調不良と、どこで飲みどうやって帰ってきたのか全く記憶がありません。

そして極めつけはクレジットカード利用通知での多額の請求に目を疑います。

知らないうちにクレジットカードで多額の決済をして、その時のことを全く覚えていないのです。

私は恐怖を感じ、この日から断酒を誓います。



アルコールは最大の浪費の玩具


飲酒すると想像以上に出費が嵩み、無意識に浪費を繰り返すようになりがちです。

もちろんどんな酒を飲むかで変わるが、毎日の家で晩酌する酒代だけでも、5000円~20000円は軽く吹っ飛びます。

毎月1万程度なら必要経費と捉え、さほど神経質にならない人も多いでしょう。

しかし外で飲むと数千円から数万円が一気にかかりますし、毎日飲み歩くと膨大な出費になります。

アルコールが入ると奔放になって金遣いが荒くなるため、通常の外食以上に使ってしまうものです。

単純に飲食店で酒を注文するだけで、食事だけの場合に比べて1.5倍以上の経費がかかります。

さらに酔った勢いで夜の街で散財してしまうことも珍しくありません。

私は正にそのタイプでした。

調子に乗ると数万から十数万の散財を躊躇することなくしてしまい次の日に後悔してしまうのです。

このように日常的に飲酒をしていると、酒代だけにとどまらず、気づかないうちに金遣いが荒くなり、想像以上に出費が膨れ上がってしまいます。



断酒による離脱症状に苦しめられる日々


断酒後、強烈な不安感と不眠で苦しめられます。毎日飲酒していた人ほど、「断酒」によって強い離脱症状に暫く続くのです。

同時に強烈な虚無感と喪失感が襲ってきます。

自分の人生を思い返し、計り知れない虚しさで感情が止められなくなります。

そして何よりアルコールがないことで、手持無沙汰でやることがないのです。

仕事から帰って寝るまで、休みの日に何をしていいかわからなくなります。

だらだた酒を飲んでいた時は暇に感じなかったのに、酒がなくなるだけで途端に耐えようもない退屈感に支配されます。

毎日習慣として飲酒をして、知らず知らずのうちに飲酒以外の生き甲斐を感じられなくなっていたのです。

気づかないうちに飲酒が生活の中心になり、アルコールによって支配されてしまっていることに、本人が気付かないのがアルコール依存症の恐ろしさなのです。



急性期の症状が治まっても、暫く続く不快感


断酒して2週間ほど経過すると、急性期の離脱症状が治まり、精神的にも肉体的にも安定してきます。

しかしそれでも不眠に苦しめられる日々が続きました。

毎日の飲酒が習慣化している場合、アルコールを摂取しないと眠れないという人も多いでしょう。

アルコールによってGABA受容体が活性化され、眠気を催しますが、睡眠の質は悪くなると言われています。

永年飲酒を繰り返してきた人ほど、断酒による反動によって、不眠の離脱症状に苦しめられるのです。

断酒による不眠は数か月続くことも珍しくありません。



日々の「ささやかなこと」に、幸せを感じれるようになる


酒を辞めるだけで寝起きがよくなり、翌日に疲れが残りにくくなった。

自然に体重が減り、崩れてきた体型も少しづつ改善もされた。

そして何より、日々のささやかなことに喜びや生きがいの大切さを知ったのだ。

飲酒によってもたらされる高揚感や快感は、薬物によってもたらされる効果である。

アルコールの摂取でドーパミンが放出されることで、簡単に手にしていた快楽。

その快楽を手にするために毎日繰り返す飲酒は、中長期的に必ず心身の健康を蝕んでいくだろう。

断酒によって薬物による快楽がなくなると、日々のささやかな日常を有難く感じれることが出来るようになるだろう。

断酒によって、お酒以外にも世の中には、楽しいことが沢山あることを気づかせてくれたのだ。



音楽に対する感性と思考が変化した


お酒に酔った状態で聞く大音量の音楽は格別である。ナイトクラブやコンサートでのお酒と共に音楽に陶酔したり、ハイテンションになれるのが酔った状態で楽しむ音楽の醍醐味だ。

しかし素面で聞く音楽に、以前ほどの興奮やワクワク感を感じなくなった。

音楽の勢いで普段以上にお酒が進み、酔えば酔うほど音楽に陶酔してしまう激しい刺激がないのである。

以前はEDMなどのダンスミュージックや、ノリノリのテンポの速い曲を好んでいた自分が、ゆったりと音色を楽しむ穏やかな曲を好んでしまうのだ。

むしろ以前ほど音楽を聴く機会が圧倒的に減り、習慣的に好きな曲をyoutubeで流すことも激減した。

激しくノリノリの音楽とアルコールの凄まじい刺激に酔いしれた日々を懐かしく感じるのである。



習慣的な飲酒は人格まで変える


断酒して3週間程経つと、急性期の離脱症状が治まり、気持ちが穏やかになってきます。

以前ほどせっかちでなくなり、怒りっぽさや荒々しい感情が幾分少なくなってきた気がするのです。

毎日のように感じていた憂鬱感や漠然とした不安感がなくなり、落ち着いた毎日を過ごせています。

習慣的な飲酒とうつ症状には密接な繋がりがあり、習慣飲酒期間が永くなれば永くなるほど症状が悪化すると言われています。

酒好きの人は、情緒不安定だったり、気性の荒い人が多いと感じる人も少なくないでしょう。

習慣的な飲酒がもたらすメンタルヘルスへの影響が、その人の人格にまで影響を与えている可能性は大いにあります。



断酒で仕事に前向きに取り組めるようになった


お酒を断って10日ほど経過したとき、これまで意欲ゼロで生活のためだけに働いていた仕事に対して、不思議と前向きな気持ちで取り組めている自分に気づきます。

退屈でやりがいのないと感じていた仕事に対して、無心で取り組んでいる自分は、まるで新入社員のときのような心境です。

いつも始業時間ギリギリに出社していたにもかかわらず、断酒後は余裕をもって出社できるようになりました。

気づかないうちに飲酒が日々にパフォーマンスを下げ、仕事に対する姿勢にも悪影響を与えていたのです。

アルコールによってもたらされるドーパミンの快楽に支配されている本人は、飲酒による悪影響に気づきませんし、認めたがらないでしょう。

毎日の飲酒が私生活のみならず仕事にまで及ぼしていた影響をひしひしと感じています。



お酒を通じた仕事の付き合いや友人との関係への影響


飲酒は人と人との社交を深める役割を果たしている。

お酒で同僚や上司部下と親睦を深めたり、取引先の接待にお酒が絡むことも多いだろう。

酒好きなら、お酒を通じて仲良くなった友人もいるはずだ。

飲酒を通じて関係を築いた間柄が、飲酒をしなくなることで断絶してしまうのではないか心配する人もいるだろう。

確かにいつも飲酒を絡めて遊んでいた友人とは、アルコールなしで遊ぶことは現実的ではない。

酒好きは一緒に酒を飲める人に親近感や共感を感じることは、15年間飲酒を継続してきた私には痛いほどよくわかる。

それでも断酒すれば、飲酒をしていた時には親交を深めることができなかった別の側面から人間関係を構築できるはずだ。

新たな趣味を見つけて趣味を通じた仲間と出会えるかもしれない。アルコールなしで悩みを語り合える友人が出来るかもしれない。

この世には元々お酒など一滴も飲めない人や、ほとんど飲まない人は多くいる。そうした人は、飲酒しないからと言って孤独だろうか。飲酒しないから楽しみのない人生だろうか。

飲酒しない人は飲酒しない人の楽しみや人間関係を構築しているはずである。







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