【会社法】企業の離合集散である組織再編の基本☆会社の基礎が変わる意義と効果

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世の中に数多ある企業は、合併や買収などのM&Aを繰り広げ組織規模の拡大や、組織構造の変更を繰り返します。自分の勤めている会社が、ある日競合企業やに買収されたり、巨大資本の傘下に入ってしまうことは日常茶飯事である。

組織の規模を拡大して資金力はスケールメリットを生かそうとすることもあれば、複雑化した組織の一部を切り離して独立した会社をつくることも多い。

日夜繰り返される企業の離合集散といった組織再編の基本を見ていこう。



企業合併で会社規模を拡大


会社がより多くの利益を得るためには、その規模を拡大することが必要となる。その方法として、ます募集株式の発行等による人的・物的規模の拡大が考えられる。

募集株式の発行等の増資による資本金増強以外で、より効果的に会社規模を拡大する手段として、合併、事業譲渡、子会社の設立等の方法により企業規模を外部的に拡大することが考えられる。これらを総称して企業結合という。

例えば、自社と同業の競合他社や、異業種事業を営む他企業を買収や事業譲受などにより吸収することで、自社の事業規模や事業の多様性を拡大できるのである。



企業分割で経理合理化

これに対して、1つの会社を数の会社に分難することを企業分割という。企業分割は、企業のリストラ、経営合理化を目的とする場合が多い。

一方で、会社の業績を向上させる別の方法として、合併や事業譲渡などのの企業結合というものも考えられる。

企業結合によって企業の規模を拡大して、競争力強化、競争回避、市場の占有率拡大等の目的てなされるのが一般的である。



企業の合併の目的

企業結合一つである企業同士の合併は、国際的な競争力強化や業績を回復させるために頻繁に行われている。

ライバル会社と合併する場合、当事者としては感情的に受け入れ難い場合もあることが予想されるが、会社が生き残る道として渋々、検討する場合もあるようである。



吸収合併と新設合併

合併の類型には、「吸収合併」と「新設合併」がある。

吸収合併は、合併当事会社のうちの一つが存続し、他の会社はその存続する会社に吸収されて解散する場合を指す。

吸収された会社は消滅会社といい、吸収した会社は存続会社という。

中小企業が、超大手の大企業と合併する場合は、吸収合併によって中小企業側が解散することになる場合が、一般的である。

一方、新設合併は、合併当事会社全部が解散し、それと同時に新会社を設立する場合のことを指す。

自分方の会社と相手方の会社とがともに解したうえで、新会社を設立するため、形の上ではお互いの会社のアイデンティティーを保持しつつ、対等な合併をした状態になる。



会社分割の目的

会社の事業を持ち直し、業績を改善する方法として、企業分割という方法もある。

会社分割とは、1つの会社を2つ以上に分けることをいう。業績の振るわない部門を分難して、別会社として経営させることで経営を効率化を図る場合などに用いられる。

会社分割により不振部門を切り離し、独立採算制の下で危機感を持たせつつ真剣な経営をさせ、全体としての業績改善を図ることが期待できる。



吸収分割と新設分割

会社分割についても、合併と同様に、新設分割と吸収分割が存在する。

新設分割とは、とある会社が会社のある部門を分離をして独立した会社を設立する場合を指す。

吸収分割とは、とある会社がある部門を独立させ、すでに存在する会社に吸収させる場合のことである。



その他の組織再編

合併、分割の他にも、企業再編には株式交換、株式移転というものもある。企業再編は、会社の株主や会社債権者に重大な影響を及ぼすもので、原則として、株主総会決議や債権者保当手続が要求されている。



組織再編は株主や債権者に大きな影響を与える

平17年の会社法改正により、全体として組再編引度が人幅に横断化され、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の間で組織変更が可能になった。

会社の基礎の変更とは、①組織再編行為(合併、会社分割・株式交換・株式移転、組織変更行為)②事業譲渡等、③定款の変更を指す。

これらは、株主の重大な利害に関わることから、基本的に株主総会の特別決議が要求され、また、反対株主に株式(新株予約権)買取請求が認められている。

他方で、債権者の利益を害するかどうかは制度により異なるから、債権者の異議手続を要するかは様々である。

これらの制度のうち、組織変更行為と定款の変更は、その会社が単独で行う行為である。

これに対し、合併、会社分割、株式交換・株式移転、及び事業譲渡(合併等)は、複数の会社が関係する行為である。

合併等は、すでに存在している複数の会社が契約を締結する形で行うか、又は手続き中で新会社を設立する形で行うことになる。



巨大グループ企業の組織再編

会社法は、会社経営の効率化を図り日本企業の国際競争力を高めること等を目的として、企業の再編に関する諸制度を定めている。

まず2つの企業グル一プの統合と再編のストーリーを通して、各制度がどのように利用されるのかを概観しよう。

【事例】 A銀行を中企業とするAグループとB銀行を中枝企業とするBグループは、いずれも日本を代表する旧財閥系の大企業集団である。

A銀行の頭取甲とB銀行の頭取乙は、国内的にも国際的にも厳しさを増す経営環境の中での生き残りをかけ、段階を経てグループの統合を図ることで合意した。



両者が描いたシナリオは次の通りである。

まず、統合の第1段階として、A銀行とB銀行が合併してメガバンクAB銀行を作る。

これによってAB銀行を中核企業とするABグループが誕生する。所謂「新設合併」のケースである。

しかし、この合併後の状態には経営効率の面で2つの問題点がある。

問題点1:中核企業であるAB銀行の負担が重いことである。

すなわち、AB銀行は自らの銀行業務を行いつつ、グループ全体の経営戦略をたて、各グル一プ企業の指揮をもとらなければならない。

問題点2:A証券とB証券のように各グループ企業間の事業が重複していることである。

そこで、統合の第2段階では第1の問物点の解消を図る。

つまり、グループの指令塔となるべきABホールディングスを設立し、AB銀行その他の各グループ企業の株主が保有していた株式をすべてABホールディングスに移転するとともに、それらの株主にはABールディングスの株式等を与える。

これが株式移転による完全親会社の設立である。

これによってAB銀行は銀行業務に専念することができる。グループ全体の経営戦略を立てて、各グループ企業の指揮をとる役目はABホールディングスが担う。

そして、第二の問題点であるグループ企業間の事業の重複を解消するのが統合の最終段階である。

たとえば、A証券とB証券が重複して行っている株式取引事業と投資信事業のうち、B証券の株式取引事業をA証券に移転し、A証券の投資信託事業をB証券に移転して、株式取引専業の会社(A証券から商号を変更したAB証券)と投資信託専業の会社(B証券から商号を変更したAB投資信託)に再編する。

つまり、業務が重複している同じような企業の業務を分離・集約することで、特定の業務に特化した別事業の会社に再編したのである。

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