第32回(令和元年度)介護福祉士国家試験 筆記試験問題解説

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問題117~119

次の事例を読んで,問題117から問題119 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Mさん(80 歳,男性)は,2年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。Mさんは自宅で暮らし続けることを希望して,介護保険サービスを利用しながら妻と二人で生活していた。
その後,Mさんの症状が進行して妻の介護負担が大きくなったため,Mさんは,U社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設に入所することになった。Mさんの入所当日,担当のA介護福祉職は,生活相談員が作成した生活歴や家族構成などの基本情報の記録を事前に確認した上で,Mさんと関わった。
問題117 次のうち,A介護福祉職が確認した記録として,適切なものを1つ選びなさい。
1 施設サービス計画書
2 インシデント報告書
3 エコマップ
4 プロセスレコード
5 フェイスシート
問題118 入所当日の昼食後,A介護福祉職はMさんに歯ブラシと歯磨き粉を渡して,歯磨きを促した。しかし,Mさんは歯ブラシと歯磨き粉を持ったまま,不安そうな顔で歯を磨こうとしなかった。
このときのMさんの症状に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 幻視
2 失行
3 振戦
4 脱抑制
5 常同行動
問題119 面会に訪れた妻はA介護福祉職に,「最初は夫を施設に入れて申し訳ない気持ちもあったが,元気そうな夫を見て,今はこの施設を利用してよかったと思っている」と話した。A介護福祉職は妻の発言を受けて,介護サービスをもっと気軽に利用してもらうための取り組みが必要であると考えた。そこで,A介護福祉職は施設職員と検討した。その結果,地域の家族介護者を対象に,介護に関する情報提供や交流を図る場を無料で提供することを,独自の事業として継続的に行うことを法人として決定した上で,必要な手続きを行うこととした。
U社会福祉法人が行うこととした事業に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 公益事業
2 日常生活自立支援事業
3 相談支援事業
4 自立相談支援事業
5 地域生活支援事業


問題117:適切なものは「3 エコマップ」です。
エコマップは、利用者の生活歴や家族構成、支援の必要性、支援に参加する人々などを視覚的にまとめたもので、ケアマネジャーや介護職員などが利用者とのコミュニケーションを深めるために利用されます。
施設サービス計画書は、利用者が入所した施設でのケアプランをまとめたもので、ケアマネジャーや介護職員が作成します。インシデント報告書は、利用者や職員に起こった事故やトラブルなどを報告するものです。プロセスレコードは、利用者の身体状況や日常生活の様子を記録したもので、介護記録として利用されます。フェイスシートは、利用者との面談時に使用する質問票で、利用者の自己評価や意見を聞き出すために利用されます。
問題118:適切な選択肢は、「2 失行」です。
失行は、行動や動作の調整がうまくいかず、目的に向かって行動できない状態を指します。アルツハイマー型認知症では、このような失行症状がしばしば見られます。例えば、歯磨きをするという目的に対して、歯ブラシを持ったまま、具体的な行動に移れないという状態が失行の一例です。Mさんが歯磨きをすることができなかった原因は、アルツハイマー型認知症による失行症状である可能性があります。A介護福祉職は、Mさんが歯磨きをすることができなかった理由を理解し、適切なアプローチを行うことが必要です。
問題119:適切な回答は、5の「地域生活支援事業」です。
「地域生活支援事業」は、高齢者や障がい者、子育て世帯などが地域で暮らすための支援を行うことを目的とした、地域住民に対する広域的なサービスの提供や地域のネットワークづくりを行う事業です。今回の例では、介護に関する情報提供や交流を図る場を無料で提供することで、地域の家族介護者を対象に地域のネットワークづくりを行い、介護サービスをもっと気軽に利用してもらうための取り組みが継続的に行われることとなります。

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