パラアスリート支援が進化中!企業が柔軟な働き方で多様性と社会的責任を推進

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障害のあるアスリートへの企業支援が、東京パラリンピックをきっかけに大きく進化しています。伴走するガイドランナーの雇用や海外移籍時の現地法人配属など、新たな取り組みが広がり、柔軟な働き方を通じて社内の多様性を推進する動きが活発化しています。

パリ・パラリンピックで男子5000メートル(視覚障害T11)4位となった和田伸也選手は、2018年から長瀬産業に所属しています。同社は、和田選手と共に練習を行うガイドランナーの長谷部匠さんも2021年に雇用し、選手と伴走者が一体となって活動できる環境を整えました。この取り組みは非常に珍しい例であり、選手たちは社外講演や社内での情報発信も担当しています。同社はさらに、2022年に陸上競技大会「NAGASEカップ」を創設し、障害の有無を問わず参加できるイベントを開催。2023年の第2回大会には約1,424人が参加し、そのうち450人がパラアスリートでした。2024年も10月に開催を予定しており、社内外の一体感を育む場となっています。

一方、あいおいニッセイ同和損害保険は、車いすバスケットボールの秋田啓選手がドイツリーグに移籍する際、欧州現地法人の社員として配属する「海外人事」を発令しました。これは同社にとって初の試みであり、海外移籍後も社員として業務を続ける一方、現地の地域活動にも参加することでキャリア形成を支援しています。2023年には別のチームと契約した秋田選手は、再び海外駐在員育成制度を活用して渡欧。企業として選手の柔軟なキャリアを支えることで、社員全体の多様性への理解を深めています。

パラアスリートへの支援は2012年のロンドンパラリンピック時にはほとんど見られず、メダリストでも就職先が見つからない状況がありました。しかし、2021年の東京大会以降、企業の関心が急速に高まりました。障害者の人材紹介を専門とする「つなひろワールド」では、2023年に過去最多の64人を企業に紹介し、2024年も問い合わせが増加しています。さらに、障害者雇用率の法定基準が2026年7月に2.7%へ引き上げられることも追い風となり、パラアスリートを支援する企業が増えています。

企業は社会的責任(CSR)の観点から、単に雇用するだけでなく、選手としても社員としても成長を支援することで、組織全体にプラスの影響をもたらしています。あいおいニッセイ同和損保の広報部スポーツチーム倉田秀道さんは、「職場の一員として選手の柔軟な働き方を支えることが、会社全体の多様性への理解を深める基盤になる」と語ります。このような取り組みは、パラスポーツの認知向上とともに、日本社会における多様性と包括性の実現に大きな一歩をもたらすでしょう。

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