
2024年7月から9月期における工業用ヒマシ油の大口需要家向け価格が、1キログラムあたり615〜635円と、4月から6月期に比べて10〜15円(約2.0%)上昇しました。この価格の上昇は、前期に続き2四半期連続となります。ヒマシ油は塗料や潤滑油など、工業の幅広い分野で重要な原材料として使用されており、その価格変動は製造業全般に影響を与える可能性があります。
価格決定の背景には、メーカーと需要家による交渉があり、その交渉では原料相場や需給バランス、物流費用、さらには為替レートの動きが重要な要因として考慮されます。2024年4月から6月にかけては、国内外の物流費が上昇したほか、ドラム缶など容器代の高騰も交渉材料として持ち出されました。
一方で、ヒマシ油の原料となるヒマシ原油の価格を示す国際指標、ロッテルダム現物相場は、2024年1月から3月にかけて1トンあたり1930ドルの高値を記録していましたが、4月から6月には1トンあたり1700ドル台後半から1800ドル台前半まで下落しました。この原油価格の低下にもかかわらず、国内輸送費の上昇や、中東情勢の緊迫化に伴うスエズ運河での輸送停滞、航路の変更などが海上運賃の高止まりを招き、結果として日本国内での価格上昇につながっています。
特に主産地であるインドからヨーロッパへの輸送ルートが影響を受けており、これがさらなるコスト増加を引き起こしています。このような状況は、企業のコスト構造だけでなく、製品価格にも波及する可能性があり、SNSでは「物流の安定がいかに経済全体に重要かを再認識した」「エネルギーと原材料の価格動向に敏感になる必要がある」といった議論が活発化しています。
2024年9月時点でのこれらの動きは、原材料の調達や製造コストの見直しを迫られる企業にとって、課題とともに新たな対応策を考えるきっかけとなるでしょう。製造業に関わるすべての人々にとって、国際的な物流と原材料市場の動向を注視する必要がある時期に差し掛かっています。